2が元気無いと、僕らも沈んじゃうよ」

「そう・・・・だね・・・ごめん」

タッタッタッタッタっと足音が近づいてくる。

「シンジ!ニュースよ!フォースチルドレンが見つかったわ!」

「そう・・・」

そうなんだね・・・・トウジが乗らなかったから・・・・

「今日学校が終わったら来なさいってさ」

「うん・・・・・・」

「どうしたの?」

「ちょっとね・・・」

アスカの目線が二人に注ぐ。

「わ、ワイはなんもしてないで!」

「僕もだよ!」

「怪しいわね・・・・・レイ!」

「なに?」

何時の間にか・・・・

「懲らしめなさい」

「了解」

「いややぁぁぁぁぁ!」

「なんもしとらんでぇぇぇぇぇ!!!」

「言わないと・・・・ヒカリに報告するわよ!」

「なにをぉぉぉ?」

二つの意味があるらしい。

トウジの言葉はよくわからないよ・・・・

「アスカ、ただ僕の元気が無いだけだよ。二人には何もされてないよ」

「口止め?」

「かんちがいやぁぁぁぁ!!!」

「逃げの1手!」

戦線離脱のケンスケ。

遅れてトウジも。

「どうしたの?シンジ」

「何でもないよ・・・・」

「嘘おっしゃい」

 

 

結局言わなかった。

言っても理解できないから・・・

二人を苦しめるから・・・・

 

 

 

ネルフ

 

「この子がフォースチルドレンの、渚カヲル君よ」

「よろしくぅ(にやり)」

あ、怪しい・・・・

アスカは直感した。

「やぁ、シンジ君。後で話しがしたいな」

「へ?」

「じゃあ解散!」

ミサトさんの一言で、カヲル君がそばにきた。

「やぁ、シンジ君。僕も君に引かれて戻ってきたよ」

「・・・・・・は?」

「また・・・・殺してくれるかい?」

「・・・・・・・・・まさか・・・・・」

「そのまさかだよ」

「・・・・・・・・嫌だよ」

「その弱い心・・・・好意にあたいするね」

この言葉に二人がサッと駆け寄ってきた。

「あんたねぇ・・・・ホモ?」

「・・・・・・・・・・・・殲滅・・・・・するわよ」

「怖いねぇ、穏やかではないよぉ」

当然である。

「カヲル君・・・・・散歩しようか?」

「そうだね」

「二人は・・・・来ないで」

 

 

 

ジオフロント内

「人口の陽光でもあまり変わりないね」

「そうだね」

遊歩道を歩いていく二人。

そして、隠れてついてくる二人。

「ねずみ小僧みたいだね」

「あの二人だからね・・・・・」

「僕は君に殺されるために来たのさ」

「そんなんで来ないでよ・・・・・・・」

笑って誤魔化すカヲル。

「まぁ・・・・短い時間を楽しまないかい?」

「そうだね・・・・友達だもんね・・・・・」

「最愛の・・・だろ?」

「・・・・・・僕はそういう趣味・・・・無いよ?」

「男なら誰でも、そう言う気を起こすものさ」

恐ろしい事をさらっと言うカヲル。

「しかしねぇ・・・・今度も弐号機を使わせてもらうか」

「僕は知らないよ・・・・アスカに殺されても」

「シンジ君の方がいいなぁ」

ベンチに腰掛ける。

「リリンが作り出した最高傑作を知っているかい?」

「歌・・・だろ?」

笑い飛ばすカヲル。

「違うよ、君さ・・・碇ユイ博士と言うリリンが作り出した、最高のリリン・・・・・心優しく、もろいシンジ君」

「僕は・・・・君を殺さなくてはいけないの?他に道は・・・・・」

「わからないよ。全てはリリンの道筋通りに・・・・・繰り返す命・・・・・・いつか、殺さないですむさ」

「僕は・・・死んだら、またあの時間に戻るのかな?」

「君は、自分の道を決めるがいいよ・・・・君がリリンの道を決めるのさ・・・・・君しか決められない」

にやけている。

「僕が適任か・・・・・前も父さんに言われたな・・・・・本当に始めて乗った日・・・・・・」

「適任じゃないよ。君しか決められない・・・・運命なのさ」

「僕の人生は・・・・・何処で狂ったんだろう?」

「引き取られている時に、自分の殻に閉じ篭ったのがいけないね・・・・・」

「そうだね・・・・・・・」

かさかさ・・・・

「しかしね・・・・・ねずみは・・・・・」

かさかさかさ・・・・・

「そうだね・・・・」

かさかさかさかさ・・・・

「どうしようか?(ニヤリ)」

「その表情の時は・・・・何か思いついたね?」

「察しがいいね・・・・好意にあたいするよ」

「それで?」

カヲルは、おもむろに立ち上がり、草むらに走っていった。

「お嬢さん、シンジ君が気になるにはわかるけど、覗き見はいけないよ」

「そうだね、いけない事だよ」

ビックリして、腰を抜かしている。

「ド、鈍感シンジが・・・・」

「いかり君・・・・」

はぁ・・・・

「シンジ君はね、鈍感なんかじゃないよ・・・・前はそうだったけどね」

「今はね、変わったんだ・・・・君達二人を守るためにね・・・・・・」

「どう言うこと?」

「後もう少しで教えるよ。楽しみに待っていてね」

「それとね、シンジ君は1週間ほど借りるよ」

二人が震えた。

(シンジが汚される!)

(いかりくん!守ってあげる!)

「僕はね、1週間だけカヲル君と一緒に生活するよ」

「なんですって?」

「いかりくん!」

「シンジ君はもてるね」

「ははは・・・・・結構大変だよ・・・・・」

引っ叩かれた。

カヲル君は、ネルフの近くに部屋を借りた。

僕も、1週間そこに住む。

ミサトさんに言ったら、「夕食だけは作ってく!」だってさ。

断ったら、血の涙を流していたよ・・・・・

 

 

部屋

「しかしね・・・・ここは監視カメラとマイクの巣だね」

「しょうがないよ、カヲル君の過去は誰も知らないんだもん」

「そうだね、じゃあ・・・・使用不能にしようか?」

「やってくれる?」

「喜んで」

 

ネルフ

「なんですってぇぇぇぇ!」

「シンジ君が知っている?」

「使用不能だぁ?」

「何者?」

「シンちゃん!ご飯!」

「ネルフにはいないわよ・・・・」

暴走中の二人を止められるものはいない・・・・

 

部屋

「さ、夜遊びに行こうか」

「そうだね、僕もカヲル君と遊びたいよ」

「短い時間・・・・有意義にね」

「・・・・・・長く出来るかもよ?」

「まぁ・・・・最悪のパターンから考えないとね」

嫌な考え方しないでよ・・・・・

考え方一つで世界は違く見えてくるのに・・・・・

ぼくらは、バーに行って、軽くアルコールを飲み、

ゲームセンターで遊んで、公園に来た。

「諜報部も大変だね」

「ごくろうさまぁ!」

ビクッとして、視界から消えたサラリーマン風の男二人。

ぼく等二人は笑っていた。

「シンジ君はあの二人のうち、どっちが好きなんだい?」

「さぁ?わからないよ」

「二人は、君の温もりを求めているよ」

「そうだね・・・・答えてあげたいけど・・・・・全てが終わってからじゃないと・・・・」

「だね、君は優しいね」

「前も言われた気がするよ・・・・・」

「ぼくは言った気がするよ?」

カオル君を、また殺すのだろうか?

わからないよ。

もし、殺すのだとしたら・・・・

ぼくは、どうするんだろう?

わからないよ・・・・・

「さぁ、帰ろうか?」

「そうだね、寝よう」

「二人でかい?」

「綾波達に知られたら、殺されるよ・・・・・」

「それも人生さ」

「最低だね・・・・・」

「そうかな?」

「そうだよ・・・・」

布団が無かったので、一緒に寝た。

本当に殺されちゃうよ・・・・・

知られなきゃいいか・・・・

 

翌日 ネルフ

「渚君のシンクロテストね」

「はい(シンジ君、どうしようか?)」

「(ん〜・・・・・まずは・・・・40%くらいでいいんじゃない?)」

「じゃ、行きます」

カヲルは、エントリープラグに乗り込んだ。

「・・・・・・40%・・・」

「始めてとしては、落ち着いているし・・・・・結構高いわね」

「カヲル君、60%は?」

目を閉じた。

「・・・・・60%に上がりました」

「どう言うこと?」

「じゃ、100%ね」

「いいのかい?シンジ君」

僕は笑って答えた。

「100%ピッタリです!」

「マヤ!おかしなところは?」

「無いです。正常そのもの・・・・」

「シンちゃん!どう言うこと?」

また、笑って誤魔化した。

「200%行ける?」

「行けるよ」

「上がっていきます・・・・・200%です」

ミサトさんも、リツコさんも、マヤさんも・・・・あげくの果てに、父さんも驚いていた。

当然かな?

自由に操作できるなんて・・・・」

「400%は危険だから・・・・390%に出来る?」

「出来るよ、やっていいものなのかい?」

「平気だよ」

どうだか?

「390%・・・・・・・・・・・」

後ろの方で慌てている。

「碇・・・・やはり老人からの・・・・」

「・・・・・ああ、最後のだ・・・・」

カヲル君は、父さんに答えた。

「そうですよ司令。まぁ・・・・・覚悟しておいてください」

ミサトさんと、リツコさんとマヤさんは父さんの言葉が、聞こえなかったようだ。

「じゃ、テスト終わりですねミサトさん」

「・・・・・・シンちゃん・・・カヲル君の事を知っているようね?」

「ええ、知ってますよ。友達です」

ふに落ちないようだ。

「過去の記録が無い事も知ってますよ」

「何ですって?!」

「また明日!」

早足に、シャワールームに向かった。

 

 

 

 

 

「カヲル君、凄いね」

「そうかい?シンジ君も・・・・」

「いいんだよ」

「そうかい?十分強いのに」

弱いよ、心は特に・・・・・・

「これからどうするんだい?」

「カヲル君が決めてよ」

「じゃ・・・・・・シンジ君が今まで住んでいた家に行こう」

「え!」

二人に・・・・殺される・・・・・

本気で・・・・・

そして、嫌々ながらも、ついについた。

「ただいまぁ・・・・・」

いない事を祈って小声で言った。

しかし、期待は裏切られるだろう。

「シンジ!こっちに来なさい!」

「いかり君・・・・・許さないわ・・・・・・」

ははは…

目がすわってるよ・・・・

僕の生涯はここで終えるのか・・・・

悲観的なシンジだった。

「シンジ君も大変だねぇ」

楽観的な人もいた。

「来なさい!」

「一緒にいたかったのに・・・・・」

涙を流しながらシンジは自分の部屋へと入っていった。

カヲルもついて行く。

「さぁ!説明しなさい!」

「何をだよぉ・・・・・・」

「全てよ!」

「・・・・・・・・いかりくん・・・・・・」

「大変だねぇ」

もういや・・・・・

「カヲル君とは前から知りあいだったんだよ」

「で?昨日は何で向こうに泊まったの?」

「あ、約束だったんだ」

そうなのかい?とカヲルはシンジを見る。

「昨日は夜遊びしたから面白かったよぉ!シンジ君は好意にあたいする人物だね」

「どう言う意味よ!

「好きって事さ」

N2爆雷がアスカとレイの真上に落ちた。

「ぬわんですってぇぇぇ!」

「いかり君・・・・・・・・」

慌てて弁解する。

「違うよ!友達としてさ!」

「そうなのかい?さみしいなぁ」

「シンジ!」

「はい!」

つい、驚きながら反応してしまう。

「あんたって・・・・ホモだったの?」

「え?」

「いかり君・・・・・」

ホモじゃなぁぁぁい!

と、抵抗するが二人の力には勝てない。

勝てるが、あえて勝たないのだ。

「綾波レイ、君は僕と同じだね?」

「カヲル君・・・・いちいち同じ事言わないでも・・・・・」

「僕のさだめさ」

そうなの?

カヲル君の事はよくわからないや・・・・

「渚・・・・あなた・・・・何?」

「いやぁ!シンジ君!」

さらっと受け流す。

レイの目には、怒りの赤い炎が見えているようだ。

「シンジ君!睨んで来るよ!」

「僕は何も出来ないよ!自分で対処してぇぇぇ!」

逃亡。

リビング

「はぁ・・・・・カヲル君は変わってないな・・・・・」

今更ながら、疲れている。

「使徒でも、綾波みたいに普通に生活出来ているのに・・・・」

俯く。

「また・・・・・殺さなきゃいけないのかな?いやだな・・・・・」

「いかり君・・・」

「あ、綾波・・・・アスカとカヲル君は?」

「殲滅しあっているわ・・・・」

恐ろしい・・・・

「渚・・・・・私と同じと言ったわ・・・・」

「まぁ・・・・・いつかわかるさ」

「そうなの?」

「そうだよ」

断末魔の叫び声がこだまする。

ガタガタと音を立てながら、這いずり近づく背の高いカヲル。

通った所は、血の線がついている。

「シンジ君・・・・君はあんなのと住んでいて、今までよく死ななかったね」

「消毒する?」

「必要無いよ。端末の角で叩かれただけだから」

どう考えても必要あるよ・・・・・

「シンジ!このナルシスホモを捨ててきなさい!」

「ひどいなぁ、僕のシンジ君はそんな事しないよ」

「僕の?あんた!もう一度痛い目にあいたいようね!」

リビングを逃げまとう。

グルグルグルグル・・・・・

よく目が回らないものだ。

「助けてくれよシンジ君」

「助けてくれと言っている割には、顔が笑っているよ?」

「こう言うのも楽しいね!」

「ははは・・・・・・・」

苦笑するしかない状況だ。

アスカは、青筋をこめかみに立てて角が2本たっている。

「だぁぁぁぁぁ!殴らせなさい!」

「はははは!」

「笑うなぁぁ!」

「いいねぇ!楽しいよ!」

アスカ・・・・遊ばれているよ・・・・

口が裂けても絶対に言ってはならないと確信した。

「僕は・・・・昼食でも作ろうかな・・・・・・」

「お手伝い・・・・・」

「お願いするよ」

昨日のご飯は綾波が作ってくれたようだ。

ミサトカレーだけは、食べさせたくない・・・・・

「シンジ君!この料理を作る君は好意にあたいするよ!」

「勝手にしてよ・・・・・・・」

諦めモード作動中・・・・・

「あんたに食わせるシンジの料理は無いわよ!」

「いやぁ!美味しいね!」

アスカの事は無視らしい。

「シンジィィィ!こいつを追い出しなさい!」

「知らないよ・・・・・」

「こらぁぁぁ!」

カヲル君は、アスカとじゃれ合って楽しいようだ。

綾波は、僕がいるだけでいいらしい・・・・

僕は?

僕は・・・・・なんなんだろう?

 

夕方

 

「ただいまぁぁ!」

「おかえりなさい」

「あら?いたの?」

全く・・・・

「監視カメラでとっくに見ているでしょう?今更嘘つくことなんてありませんよ」

「あっちゃぁ?ばれちゃっている?」

「ええ、始めから」

「ええ?」

驚いていた・・・・

「全く・・・・部屋までは監視していないから黙ってましたけど・・・・」

「いつ調べたの?」

「始めから知っていただけですよ」

なんで?

と言う質問が、20回ほど続いた。

「夕食を作りますよ。待っていてください」

何者よぉぉぉ!

シンちゃんは味方なのぉぉぉ?

敵だったらとっくに殺されているわね・・・・・

誰か教えてよぉぉぉぉ!

誰も教えないだろう、今は・・・・・

 

そんなこんなで1週間。

 

ネルフ

 

 

「フォースチルドレンがロストしました!」

「早く探して!」

「あら?どうしたのシンジ君」

ついにこの時が来たか・・・・

「リツコさん・・・・初号機を準備してください・・・」

「何を言っているの?」

「・・・・・・カヲル君は、きっとケイジにいるでしょう・・・・」

「・・・・・・発見しました!・・・・・・浮いています・・・・・・」

「何ですって?」

「浮いています!体が・・・・!」

カヲル君・・・・・

「僕は着替えてきます」

 

「弐号機!起動しました!」

「乗っていないのに?」

「拘束具を無理やり外しています!」

「どう言うこと?」

司令室

「動いたな・・・・」

「ああ・・・・・」

「碇・・・・どうするのだ?」

「・・・・・・・・シンジが対処するだろう。私は知らん」

「・・・・・・蹴ったな?」

「・・・・・冬月先生・・・・・」

「ほう、久しい呼び方だ」

「・・・・・・私は・・・・・シンジが信じられません!」

「私もだ」

「殺しておくんだったな・・・・・・・」

「ヲイヲイ・・・・息子をか?」

「ああ、計画に邪魔なやつは消えてもらう」

「今は不可能だな・・・・」

 

 

 

 

「弐号機!ターミナルドグマに降りていきます!」

「進行を止めて!」

「はい!」

「ミサトさん、僕が行きます・・・・・・・」

「早く!」

はぁ・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

ドグマ

リリス前

 

「やぁ・・・・結局殺すの?」

「そうさ、今までの楽しい生活をありがとう。

カヲルは、弐号機の横でフヨフヨ浮いている。

「僕はね・・・・・同じ種族を殺せないよ」

「そうだね、リリン」

「・・・・・・・何で、僕の魂だけ補完されたんだろう?」

「君だけが、世界を救えるからだよ」

「・・・・・・第十八使徒・・・・リリン、人類だけど・・・・・魂がかけている・・・・」

「君は、補われたから完全なリリンだよ・・・・心の壁も使える・・・・」

「知っているよ・・・・・精神も普通より頑丈だし・・・・体力も常人の何10倍もある・・・・人間じゃないよ僕は・・・・」

「人間さ、リリンだからね」

「・・・・・・・・・カヲル君、僕を殺してくれないか?」

これには、笑っている顔が強張った。

「駄目だよ、僕は死に、君は生きなきゃいけないんだ」

「・・・・・・・・」

「まえはね、生と死は同価値と言ったけど・・・・・」

「だから!・・・・・・」

「だからね、君は生きなきゃいけない・・・・使徒はまた巡る・・・・魂でね」

「僕もそうさ・・・・使徒だからね・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・」

「カヲル君、一緒に生きないかな?いきれないかな?」

「さぁ?」

「行きようよ・・・・僕達リリンと共に・・・・」

「・・・・・使徒の共存は無理だよ?危険が生じる」

「それでもいいんだ・・・・また・・・殺したと悔やむから・・・・・」

そこに、もう一人来た。

「いかり君・・・・・・」

「やぁ、リリス」

「綾波・・・・来ないで欲しかったな・・・・・これは、前の時間からの決着だから・・・・・」

「前の時間?」

「そうさ・・・・この時間は僕にとってもカヲル君にとっても・・・・二回目なんだ・・・・」

頭をひねっている。

「だから、綾波の秘密も、使徒のことも知っていたんだよ」

「そうさ、僕ら三人は同じ仲間さ」

「仲間?」

「そうなんだ・・・カヲル君がアダム、綾波がリリス、僕は補完されて、完全になったリリン・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「さぁ!シンジ君!今一度・・・・握りつぶしておくれ!」

「・・・・・いかりくん・・・・・生きた使徒の捕獲・・・・・・」

「あ・・・・・・・」

その手があった・・・・

そうすれば・・・・

「カヲル君、君を、連行する」

「優しいね・・・・・・・・好意にあたいするよ・・・・・・」

「最愛の友達を殺す奴は最低さ・・・・・・この世界では殺したくないんだ・・・・」

「でもシンジ君、ここでやることがあるね?」

「ああ、十字にかかったリリス・・・・・殲滅する」

「そして、アダムも・・・・」

「言っておくけど・・・・カヲル君も綾波も殺さないよ?いいね?」

だって・・・・

二人は使徒であって使徒に有らず・・・・

「アスカは・・・・・来たね」

「あんた達!何やっているのよ!」

「アスカ!弐号機に乗って!」

「え?」

「いいから!」

僕は、変わりに下りた。

出来るだけ、アダムとリリスをEVAに近づけたくなかったから・・・・

一機でも減れば・・・・危険は減少する。

ここでサードインパクトが起こったらたまったもんじゃないよ・・・・

「シンジ?」

「いかりくん?」

「いいのかい?シンジ君」

「いいんだ、初号機とアダムは近づけたくないからね」

「そうだね」

リリスの前に立った。

抜け殻のリリス・・・・・

コピーされた挙句、エネルギー源のS2機関も外されたリリス・・・・

破壊すれば、すむ事だ。

「心の壁・・・・・ATフィールド・・・・・始めて生身で使うよ・・・・」

「大丈夫さ、シンジ君の心なら、僕でも侵せない」

「行くよ」

僕の体が光り出す。

そして、簡単に結界クラスのフィールドが展開された。

「リリス・・・・・破壊させてもらうよ」

「いかり君・・・・壊してあげて・・・・・かわいそうだから・・・・」

綾波にはそう感じるようだ。

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

僕の右手にフィールドが収束する。

光りが回転しながら集まり、金色に輝いている。

手のひらに、球体の物が出来あがった。

「行くよ」

「うん、さすがだねシンジ君」

体の中心部に投げつける。

ゆっくりと、体内に入っていく光の球体・・・

体内に入った瞬間、破裂した。

シンジが操作して、破裂させたのだ。

当然、リリスも消し飛ぶ。

「さぁ、後は父さんの手にあるアダムだ」

「行こうか?」

 

僕は、遠隔操作で初号機を動かしてケイジに戻った。

 

「シンジ、どうして黙っていたの?」

「知られるのが怖かったんだよ、二人には人間として接していたかったからね・・・」

「そ、私は、どんな事があっても驚かないわよ?あんたの事だから」

「アスカは・・・ミサトさんの所にいて・・・」

「?」

僕は、アスカを除いた三人で司令室へと来た。

部屋の扉を吹き飛ばし、父さんの目の前に来る。

「やぁ、前の時間で補完されたリリンが来たよ・・・・・補完計画の産物さ」

「・・・・・・・・なんのようだ?」

「聞いていたくせに、アダムを殺させてもらうよ」

「・・・・・・・・無理だな・・・・・」

「可能だよ、シンジ君には、どの使徒でも勝てない・・・・」

「碇・・・・・」

「冬月・・・・・」

「さぁ・・・・融合を解除してあげるよ・・・・」

ゲンドウの手が光る。

アダムが、人の子供くらいの大きさで出てくる。

「ここまで大きくなっていたんだ」

「僕のもと・・・・アダム・・・・」

「行くよ」

さっきの様に右手が光る。

1回やった事なので慣れた。

準備に要する時間がかなり縮小されていた。

五秒足らずで撃ち出した。

「さぁ・・・」

綾波とカヲル君は、父さんと副指令にATフィールドを展開して守っている。

そして、アダムが破裂して蒸発した。

ヤシマ作戦に使用したポジトロンライフルより強力だ。

初号機が暴走した時よりも強いだろう。

「これで・・・・計画は破棄だね・・・・老人になんて言うんだい?」

「カヲル君・・・・・・・父さん、委員会を召集して」

「・・・・・・普段は・・・・向こうから召集するのだがな・・・・こちらからとは・・・・・」

すでに、ゲンドウは諦めているようだ。

いや、新たな希望が生まれているように思える。

 

 

そして、サウンドオンリーのモノリス・・・・・

「碇・・・・どう言うことだ?」

「それに、ダブリス、どうして・・・・・・・・」

説明するべきだな・・・・

「僕は、前の時間であな達の計画で魂を補完され、完全なリリンとなりこの時間に戻ってきました」

「なに?」

議長が声をあげた。

「ダブリス」

「全てはリリンのために・・・・シンジ君とは友達だよ」

「・・・・・・・碇、計画の実行は?」

「不可能となりました。アダムもリリスも存在しません」

「いや・・・・いるではないか・・・・そこに」

カヲル君と綾波の事だろう。

「この二人は協力しないでしょう。無理やりやろうとすれば、計画どころではありません」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「人類補完計画は、本日を持って破棄します」

「裏切り行為は死罪に値するぞ」

「その通りだ、九つの贈り物・・・・・覚悟しろ」

え?

「そうか・・・カヲル君でダミーを完成させたね?また戦うのか・・・・・今度は殺されたくないな」

そう、アスカを・・・・・

「あの、白いボディーと爬虫類の顔・・・最低だよね」

「そうだね、僕は、魂になってはたから見ていたけど・・・・最低だね」

「僕は生身で戦える・・・・」

「シンジ君はそうさ、僕はどうなるんだ?」

ごく一般的な考えのカヲル。

「アメリカに参号機があるよ、それに乗ればいいんだ」

「そうだね」

完成しているかな?

「シンジ・・・・一つ言っていいか?」

「なに?」

「・・・・・老人達がキれている」

「あ・・・・・・」

どうも、緊張感が無い・・・・

そう言えば・・・初号機でも起こせるんだよな・・・・カヲル君と初号機を融合させれば・・・・

「じゃあね、1世紀も生きたのに無駄だったみたいだね」

「僕を作っておいて、様ぁ無いね、老人の頭はカチカチに凍っているようだ」

よくわからないが、ひどい事を言っているよ・・・・カヲル君は・・・・

「それでは失礼します」

「碇!万死をもって購え!」

「すでに、ネルフは私の指揮を脱してますよ・・・・シンジが指揮を取る事になるだろう・・・・・」

「うそ!?」

「マジだ・・・・バックアップはせんぞ?」

信じられないよ・・・・

 

 

 

司令室

「シンジ、全てが終わったら・・・お前の力でユイを・・・・サルベージしてくれ」

僕に全権をわたして、しかも計画を破棄した理由はここにあったらしい。

「いいけど?母さんはカンカンだよ?」

「・・・・・・・・・問題無い」

「碇・・・・・震えているぞ」

「問題無い・・・・」

誰がどう見ても問題あるだろう・・・・

冬月副指令が、こちらを向いた。

「シンジ君、一気に性格がかわったな」

「そうですね、今まで我慢してきた事を爆発させただけですけど・・・・」

「フォースの渚君、副指令は君にする」

「どうして僕なんだい?(ニヤリ)」

「・・・・・・新世紀は・・・・子供達に作らせたい・・・・・」

「どう考えても・・・・老人の屁理屈だねぇ(ニヤリ)」

「・・・・・・私は年を取りすぎた・・・これからの世界は・・・・君達チルドレンが作るものなんだ」

「わかりましたよ、頑張りますよぉ」

カヲル君は、終始にやけていて軽かった。

僕も同じかな?

綾波は・・・・黙っていた。

何で・・・・僕が司令なんだ?

今更・・・・・

ミサトさんが聞いたら腰を抜かすだろうな・・・・・

まぁ・・・敵って言われるかも知れないけど・・・・・

なんせ、使徒だからね・・・・

リツコさんは・・・・実験材料に僕を使おうとするかな?

マヤさんは・・・・潔癖症爆発?

わかんないや・・・・・

 

 

「ただいま、後は時を待つだけだよ」

「シンちゃん、説明しなさい」

「聞いていたでしょう?見ていたでしょう?あれが全てです」

「あんら・・・・・っそう、わかったわ」

ははは、っと笑って見せた。

「あ、後ですね、僕が司令、カヲル君が、副指令に任命されました。多分・・・・全てが終わったら交代ですけど」

「えぇぇぇぇぇえええええ?」

驚くのも無理は無い・・・・

「後一ヶ月ちょっと・・・・二ヶ月くらいかな?ゆっくり・・・平和に過ごしましょうよ・・・・」

「そうだよねシンジ君、大人達は、ゼーレを暴露する資料を集めていればいいんだよね」

「子供は遊ぶ!」

大人達はあきれていた。

しかし、何故かみんなの心が和らいでいる・・・・

「安心したわ。シンちゃんなら・・・・少なくても三月まで司令が適任だから」

「帰りますね、寝不足ですので」

昨日は、今日の事を考えていて一睡もしていないのだ。

僕って・・・・ばかだ・・・・

今更ながら感じるね。

はぁ・・・・・・

 

 

 

 

 

 

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