校内のざわめきは今日も激しい。

 体育祭も終わり、戦闘終了という雰囲気が漂い続けていても不思議ではないというのに、ここ第壱中学で
は今だ開戦前の空気が漂っていた。

 体育祭ではトップ賞をカヲルが音頭をとっていたB組連合軍に取られ、(アスカ,レイは)辛酸をなめさせ
られた。



 今回は負けない!!



 そういう気炎がクラスから噴き上がっていた。

 筆頭はアスカ。次にレイ、トウジの順である。

 ちなみにドベはシンジ。

 彼は皆で楽しめれば良かったし、この皆が萌えて・・・・・・いや、燃えているモノ・・・・・・・・・。


 “文化祭の出し物”に乗り気ではなかったのだ。


 売上の集中化を防ぐ為にシンジは生徒会から“碇シンジの調理禁止”を言い渡されている。

 もちろん、その程度の抜け道などとっくにアスカ達は見抜いている。

 だが、それでもシンジの調理できないのは売上に響く。

 ではどうするのか?


 簡単だ。目立たせれば良いのだ。


 その手は既に打ってある。

 そして、そのせいで少年は苦境に立たされていた。


 「なんで僕ばっかりこんな目に・・・・・・・・・」

 思わず膝を抱えて座り込みたくなる。

 “前”の世界で散々やっていた行為だ。

 もっとも、世界復興した後はそんな事はやっていない。

 アスカの治療の方が大事だったからである。


 まさか今頃になってまたやるハメになるとは・・・・・・。


 「な〜に不景気な顔してんのよ」

 気が付くとアスカがすぐ脇に立っていた。

 「ア、アスカ・・・・・・」

 「・・・・・・懐かしい顔してたわよ? 『僕に優しくしてよ〜』ってヤツ」

 小声で喋ってくれてはいたが、シンジの声真似にシンジ本人が赤くなる。

 「・・・・・・・・・アタシ、優しくしてないかな?」

 「え?」

 少女の力ない声に、シンジは跳ねるように顔を上げた。

 「・・・・・・・・・あの時、シンジともっと話してたら・・・・・・もっと素直になってたら・・・・・・って今も時々思うの
  よ」

 「・・・・・・・・・」

 「そうしたらあんな事には・・・・・・・・・・・・」

 アスカの顔が声と共に沈み込んだ。

 「アスカは・・・・・・優しいよ」

 「え?」

 「本当に優しいのはアスカなんだ・・・・・・僕のは逃げてただけだから・・・・・・」

 そう少女に微笑みかける。


───そう言ったりしてくれるのが優しいって言うのよ・・・・・・。


 “こっち”で初めて両親の愛情を受け、本当の意味で素直になれた少女は、最初に心を開いた相手・・・・・・。

 ・・・・・・・・・シンジを抱きしめた。


 「・・・・・・・・・え?」

 「・・・・・・・・・今度は離さないんだからね・・・・・・・・・逃がさないんだから・・・・・・・・・」

 小声過ぎて腕の中だと言うのに少年には届かなかった。

 だが、それは誰よりも強い誓い。

 誰にも負けるつもりはないし、この少年を手放すつもりもなかった。


 例え・・・・・・・・・。


 「ああ゛〜〜〜〜〜っ!!! シンちゃんの独り占めず〜〜る〜〜いぃぃ〜〜〜っ!!!」


 蒼みががった髪の赤い眼の少女が紙テープで作っていた鎖を放り出してダイブしてきた。

 「わわっ、わぁっ!!」

 体当たりの衝撃と、顔に押し付けられる柔らかいふくらみに慌てる少年。

 「くぉらぁああっ!! レイ!! 乳は反則でしょーがっ!!」

 「ふっ、ふ〜〜ん・・・・・・早いもの勝ち〜〜♪」

 アスカの額に血管が浮かぶ。

 「言ったわね・・・・・・・・・シンジ!!」

 「え?」

 アスカは少年の右手を掴むと、彼の右の掌を自分の太ももに挟んだ。

 「わっ、わぁあああっ!! アスカ、やめてよ!!」

 「ふふ〜ん♪ や〜よ♪」

 かなり足の付け根の方なので、手を動かすと下着に触れてしまう。

 よってピクとも動かせない。

 「ああっ!!! 二人ともずっこい〜〜〜〜っ!!!!!!! あたしもする〜〜〜っ!!!!」

 ドアからC組を手伝っているハズのマナを飛び込んできた。

 「マナ・・・・・・許して・・・・・・」

 「ダメよ!! あたしもシンジくんとスルんだもん!!」

 と、少年にダイブし、その女の子のように細い腰に足を絡ませる。

 「わぁ、わぁ・・・・・・・・・だ、誰か助けて・・・・・・・・・僕に優しくしてよぉ・・・・・・」

 涙声のシンジ。

 そんな少年に、三人の少女達は、本当に慈愛に満ち満ち溢れた声でこう言った。


 「「「もちろんよ!! 優しくシテあげるわ!!!」」」


 我関せずの2−Aの級友達。

 流石に見慣れた光景なのでほったらかしだ。



 アスカは、皆の目から見えないように少年の唇を奪うと、


───そう、例えあなた達・・・・・・アタシの大事な“絆”のあなた達にもシンジは渡さないんだから・・・・・・。


 レイとマナ、ココにはいないマヤに向けた宣戦布告を誓っていた・・・・・・・・・。





 その様子に、マナを探しに来た2−Cの少年・・・・・・・・・ムサシ君がしっとマスクに変化していた事は公然と
した公共のヒミツである・・・・・・・・・。




                          はっぴい Day’S

                         22・STEP 嵐の前の嵐



 『変装軽食店 ジブラルタル』

 聞くだにアヤシさ大爆発の名前である。

 だが、これが2−Aの出し物なのだ。

 担任のミサトに内容を伝えると、まず爆笑し、

 「OKよ!! こんな倒錯的な・・・・・・もといっ、おもしろい企画は使わない手はないわ!! 構わないか
  らガンガンいっちゃいなさい!!」

 と一発で許可をくれた。


 なんとミサトは“アレ”でも風紀担当なのだ。

 学校の正気を疑うほどだが、事実なのだからどうしようもない。

 かと言って、リツコに任せると別の意味で大変な事になるし、国語担当の日向マコトは(何が良くてか)
完璧にミサト側だし、音楽教師兼体育教師の青葉シゲルも本人が風紀を乱しそうだ。

 様々な消去法でミサトが風紀担当になったのであるが、コレが最後まで残った時点でこの学校の事が心配
だ。


 もっとも、アスカ達がシンジと肉体関係を迫り、少年の子を孕む事を願っているというアホタレな現状に、
知事からして「がんばってくれ」と少女達にエールを送っているのだから、どうしようもないと言える。



 ま、それはさておき、



 着々と用意は進められてゆく。


 カーテンは家からの持込の白いモノ。

 テーブルは机二つをくっつけて白い布を掛けたモノ。

 天井の蛍光灯には100円ショップで売っていた和紙に厚紙で縁取りをつけてカバーを作って貼り付けた。

 黒板は借りてきた緞帳(早い者勝ちで体育館から失敬)で隠す。


 瞬く間に勉学の部屋がアヤシイ軽食店へと変貌して行く。


 調理道具は? というと、電磁調理器なら火を使わないからOKが出ている。

 これはアスカの実家からの差し入れで賄えた。

 念の為、調理器はベランダに置いて万が一に備える。

 生徒会の視察もこれでクリアした。

 余談だが、A組の張り合ってC組も軽食喫茶にしたのであるが、調理器具に気が行ってなくてガスボンベ
を使用しようとして怒られていたりする。


 『漢料理の店 マスコリアーダ(仮面“武闘”会)』


 男子のみで構成されたシンジ達のクラスとは別の意味でアヤシイ模擬店である。

 ちなみに女子は参加を拒否。

 シンジ達のクラスの客&ひやかしに出る事を誓っていた。

 男臭すぎて暑っ苦しい自分らのクラスに行く気なぞ全くナッシングなのだ。



 さて、シンジ達の『ジブラルタル』であるが、女子の衣装合わせが終わっていた。

 「シ〜ンジ。似合う?」

 少年の前に、赤い髪をまとめ、黒を基調としたウエイターの服を着たアスカが立っていた。

 胸が出っ張っていなければ美少年で通るのだが、男装の麗人という美しさは醸し出されている。

 「ア、アスカ・・・・・・? うわぁ・・・・・・似あうっていうか、カッコイイっていうか・・・・・・」

 顔を赤くし、明らかに自分に見とれているシンジの言葉に少女の頬も緩む。

 「ねぇねぇ、シンちゃん。わたしは〜〜?」

 間に割り込むようにレイも見せに来る。

 こちらも黒を基調としていたが、デザイン的にはホテルのレストランのボーイのようだ。

 それでも、少女の元からある高貴さのようなものを醸し出し、高級感を漂わせていた。

 「う、うん・・・・・・なんだかヨーロッパのホテルにいるような気分になるよ・・・」

 愛しい少年の誉め言葉にレイの顔もフニャける。

 反対にキリリと釣りあがる赤い髪のウエイターの目じり。

 「でもいいなぁ・・・・・・アスカもレイもそんなカッコイイ服着れて・・・・・・」

 女子の着付けを手伝っていたマナが溜息をつく。

 「へ? アンタのクラスって女子は何もやんないの?」

 「あったり前でしょ?! あんな気色悪い出し物なんか女の子がやるわけないじゃない!!」

 『気色悪いって・・・・・・・・・』

 後頭部にでっかい汗をかきながらシンジは悩む。

 2−Cの出し物は男子勇士だけで行うようなのだ。

 それでクラスの出し物といえるのだろうか?

 「まぁ、今回は他のクラスの手伝いに散ったわ。何もやらないよりマシだから、“お助け人”って訳ね」

 「なるほど・・・・・・」


 やる気が無い・・・・・・という訳ではない事を知ってホッとするシンジ。

 せっかくの学校行事なのだから皆でやってほしかったのだ。


 「ねぇねぇ、殿様〜〜、殿様の衣装合わせもやるよ〜〜」

 黒い仕切りの向こうから、針子姿のハルコが顔を出し、妙な間延びした声をあげる。

 その声がシンジ達の膝から力を奪う。

 「殿様? 殿様って誰?」

 アスカの問いにニンマリとするハルコ。

 「もちろん、碇シンジくんよ。だって、大奥つくってるんだもん」


 「「「「「「「「「なるほど」」」」」」」」」


 ポン、と手を打つ級友達。

 「ひ、ひどいや」

 と、いじけるシンジ。

 だが、いじけてよーが、拗ねてよーが、事実はひん曲がらない。

 シンジを想い、シンジの子を欲しがっているという“腐”女子はアスカ、レイ、マヤ、マナ・・・・・・と四人
もいる。

 ハーレムと言ってもいいのだ。

 男子から言えば手の出し放題でウハウハ生活であろう。

 しかし、普段のシンジを見ている級友男子一同は彼の苦労も思い知っている。

 だからあまり“やっかみ”は無い。


 『くっそぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜・・・・・・・・・』


 もちろん、しっとマスクたるムサシ君がシンジの苦労を知る由もない。


 「とにかく来て〜〜。ケンちゃんのも終わったのよ〜〜」

 「え? ケンスケってどんな・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 カチンと氷結したシンジ。

 いや、クラスの男子たち誰もが固まっている。


 そこには、

 不思議の国のアリスよろしく、エプロンドレス姿の女の子が立っていた。

 頭にはレモン色のリボン。

 髪はやや外ハネのクセ毛。

 メガネがなんともワンポイントになっている。

 もじもじとする仕種がなんともいえない。


 「ハルコ〜〜〜〜〜〜・・・・・・・・・むっちゃ恥ずかしいぞ・・・・・・・・・」

 「グーよ。ケンちゃん! 似合うわぁ〜〜」


 「「「「「「「ケ、ケンスケか??!!!!」」」」」」」


 なんとか解凍した男子達は一様に驚きの声を上げた。

 なんと言うか・・・・・・女装似合いすぎ!!

 それもフリフリが似合うとは・・・・・・・・・・・・超意外!!


 「ハルコは〜ん・・・・・・わし、むっちゃ重いねんけど・・・・・・・・・」

 仕切りのその奥から聞きなれた関西弁がする。

 だが、現れた人物は全く見慣れない人物だった。

 紺の紬の和服・・・・・・。

 髪まできちんと結い、白粉までぬってある。

 ギリギリまでさらけられた肩がなんとも艶かしい。

 どこへ出しても恥ずかしくない、艶っぽい和服美人である。

 「和服って重いもんなんやなぁ・・・・・・肩こるわ」

 だが、口調で台無しだ。

 「え?! ト、トウジぃ??!!」

 流石のシンジの驚いた。

 「せや!! どや、シンジ。似合うか?」

 くるりと回って見せるトウジに、クラスメイトも呆然とするだけ。

 「イ、イカスわ!! 鈴原、イカス!!」

 ・・・・・・・・・なんだかヒカリは異様にテンション高かったりした・・・・・・。

 「太ももをベルトで固定してあるからね〜・・・如何に彼でも女歩きしかできないわよ」

 ハルコは自分の仕事のできばえにウンウンと満足そうに頷いてから、シンジの方にキラリを眼を光らせる。

 「さ、次は殿様よ」

 ニヤリとしてにじり寄るハルコ。

 「え? あ、いや、その・・・・・・僕は・・・・・・・・・」

 来るべき時が来て、ジリジリと後へ腰が引けてゆくシンジ。

 だが、


 ガシっ!!


 何者かに羽交い絞めにされた。

 「ダメだよシンジ君。クラスの為だろう? キミもがんばらないといけないよ」

 異様にニコニコしているカヲルに掴まったのである。

 「カカカ、カヲル君?! な、なんで?!」

 「いやだなぁ・・・・・・ボクのクラスの方の準備が落ち着いたから、キミの様子を見に来たんじゃないか」

 爽やかにそう答えるカヲル。

 だが、その格好は爽やかではない。

 下は黒いスラックスと黒い靴。

 そして上は・・・・・・上半身裸に白衣という一種倒錯した格好なのだ。


 どうやらこれが衣装らしい・・・・・・。

 ホントウにオバケ屋敷なのか?


 一斉に女子が携帯のカメラを使って写真を撮り出す。

 カヲル×シンジの、とってもBLな光景に彼女達もモエモエだ。

 「ナイスよ堕天使。こっちにつれて来て〜〜」

 「解かったよ宇宙人」

 不思議な符丁を言い合い、カヲルはズルズルと仕切りの向こうに引き摺られてゆく。

 「あ、あ、やめてよカヲル君! 許してよ!」

 「ふふふ・・・・・・シンジ君。これは必要な事なんだ・・・・・・とてもね・・・・・・」

 解かるんだか解かんないんだかなセリフを言われつつ、仕切りへと姿を消すシンジ。

 「おぜう(お嬢)様方、楽しみにしててよね〜〜〜・・・・・・ククククククク・・・・・・」

 ハルコが顔だけ出してそういい、引っ込んだ。


 「ああ〜〜っ!! やめてやめて〜〜」

 「大人しくしてほしいなシンジ君」

 「足もって、足」

 「あ、ダメ〜〜〜」

 「あはは・・・・・・シンジ君、白いねぇ・・・・・・とても美しいよ。眼福ってことさ」

 「あ、むぷっ・・・・・・」

 「ホラホラ、顔を隠さない」

 「ん、む〜〜〜〜〜・・・・・・・・・」


 声だけ聞いてたらナニやってるのかと心配するような騒ぎだ。

 現に大奥の面々(笑)は心配げ。



 だが、そこは108のヒミツを持つ女。

 ものの20分で顔を出した。

 とてつもなく満ち足りた顔で・・・・・・・・・。


 「お・ま・た・せ♪」

 サァ〜〜〜・・・・・・とカーテンが如く左右に開かれる仕切り。



 その奥に、



 その“少女”は座り込んでいた。



 髪は肩まであるセミロング。



 愛らしい顔に丸いメガネがお似合いだ。



 裾が太ももまでの短めの黒いメイド服。



 服の黒さ故か白いエプロンドレスがよく映えている。



 そして服とお揃いであろう、黒いストッキングを着用し、



 恐らくはガーターベルトで止めているのであろう、ストッキングにはベルトがついており、それが艶かし
い。



 首につけられた幅の広い赤いチョーカー・・・・・・いや、大型犬用の首輪が背徳感を煽り、



 その首輪からぶら下がっている、短く切られているとはいえ銀の鎖が背徳感に拍車をかける。



 当然頭に着いているのはカチューシャである。



 どこからどう見ても可愛らしいメイドさんだ。

 それもちょっとエッチな・・・・・・。



 そんな衣装を大人しげな美少女が着けているのだ。



 そして、その美少女がやや向こう向き女の子座りで眼を潤ませ、首をめぐらせこっちを向いている。



 ごくり・・・・・・・・・。



 誰のものとも知れないつばを飲む音だけが響く。



 そんな異様な空気の中、その“美少女”口を開いてこう言った。


 「ひどいよカヲル君、ハルコさん・・・・・・・・・僕、はずかしいよ・・・・・・」


 「「「「「「「「「え?」」」」」」」」」


 「いやぁ・・・・・・シンジ君。僕は眼福だよ・・・・・・満足って事さ・・・・・・」

 すっかりイっちゃってる目でカヲルがそう言った。

 鼻にはあふれた鼻血を止める為にティッシュがつめられている。


 「え、えと・・・・・・・・・シンジ?」

 アスカが恐る恐るといった風に、“美少女”に問い掛けた。

 「ア、アスカぁ・・・・・・・・・・・・・・・ううう・・・・・・・・・恥ずかしい・・・・・・・・・」


 「「「「「「「「「やっぱりシンジ(君)(碇)(碇君)なのか?!!!!!!」」」」」」」」」


 いきなり全力で写真をとるケンスケ。

 マッハとも言える超加速しつつ、フルオート撮影しながらシンジの周りを走りまわっている。

 レフ版をもって同じ速度でケンスケを手伝うハルコ。

 男共はケンスケに「その写真を売ってくれ〜〜っ!!!!」と懇願し、

 女子達はまたも携帯カメラで撮影しまくる。

 撮影される恥ずかしさからか、シンジは益々顔を赤くし、眼を潤ませるが、その表情にクラスの面々のテ
ンションが余計に跳ね上がる。



 「「「「「「「「「きゃぁあああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪」」」」」」」」」


 「「「「「「「「「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお(ドンドンドン)」」」」」」」」」


 なぜか太鼓まで叩くものが出る。


 アスカ達、大奥(笑)の面々はシンジを庇って仕切りの奥へと引っ張ってゆく。

 それを追って乗り込んでゆく級友たち。

 「ちょっと!! シンジはアタシのよ!! 近寄るんじゃないわよ!!」

 「シンちゃんには指一本触れさせないわ!!」

 「シンジくん、絶対に守ってあげるからね!!」

 マナがスカートの中からM93R(当然、モデルガン)グリーンガス9連繋ぎ(違法改造♪)を取り出し
て連射する。

 レイが護身用のスタンガンを取り出し、

 アスカがチタン製の中華鍋で迫りくる使徒化した男子共を殉滅する。


 正に阿鼻叫喚の地獄絵図だった。



 この騒ぎは、見回りの教師が突入するまで続くのであった・・・・・・・・・。

 「シンジ君、グッドよ!!!!!!!」

 サムズアップする風紀担当教師はてんでダメであったが・・・・・・・・・。























 お・ま・け♪


 ぴんぴろりろりろりん♪

 丁度夫婦水入らずで夕食をとっていた時、台所においてある端末からメール着信の音楽が流れた。

 この好感度でも上がったような音楽は親友の娘であるアスカからのメールであろう。

 「あら、あなた。アスカちゃんからメールが届いてるわよ」

 「・・・問題ない」

 「問題ないじゃないわよ!! ちゃんとメール見てあげなさい!! 嫁候補の一人なのよ?!」

 「う、うむ・・・・・・」

 焦ったゲンドウが端末を開き、メールを確認する。


 と・・・・・・・・・。


 「ぬぉっ!!!!」

 イキナリ、ゲンドウが唸った。

 慌ててユイも内容を確認する。



 ぶしゅっ



 こっちは鼻血を吹いた。


 『おじ様、おば様。お元気ですか?

  アタシ達、文化祭で仮装喫茶をやります。

  お暇なら来てみてください。

  ちなみに、コレ、シンジです♪』


 というメールに添付されていた写真・・・・・・・・・。

 とっても背徳的な“美少女”が写っていた。


 「あなた・・・・・・」

 「ユイ、当日のスケジュールは・・・・・・?」

 「定例評議会ですわ」

 「当然、キャンセルだ!」

 「はい♪」



 爺婆親バカ連合軍に送られたファイルは、あちこちで唸りと鼻血を呼んでいたそうな・・・・・・。


 「キョウコ!!」
 「解かってるわ!! 当日の株主総会はパスね!!」

 「ああ、私です。例の州知事の会談はキャンセルです。重大な用事が出来ました」
 『そ、そんな・・・・・・会長ぉおおお!!』

 「ナニ? 当日のカウセリングはパスだ。今更あんなバカ総理の鬱など知った事ではない」
 「え゛え゛〜〜〜〜っ?!!」

 「代表審議会はキャンセルだ。当日は重大な用事が出来た」
 「ち、知事〜〜〜〜!!!!!!」


 問題アリアリの文化祭は・・・・・・・・・・・・もう、そこまで迫っていた。





 「(シクシクシク)・・・・・・・・・誰か優しくしてよぉ〜〜〜〜」

 「「「「だからぁ、優しくシテあげるってば」」」」


作者"片山 十三"様へのメール/小説の感想はこちら。
boh3@mwc.biglobe.ne.jp

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