「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・・・・」

 息が整わない。

 走り続けていた事によって、胸の奥から湧き出す熱と不快感が募るばかり。

 胃液でも吐きたい気分だが、体力を失っちまう。

 それじゃあ逃げきる事ができない。


 俺を追う“敵”は諦めたりしないのだから・・・・・・・・・。


 座り込まずに立ったままの休息を終え、俺は再び気配を探りつつ走り出す。

 通りのすぐ向こう側に“それ”を感じたが、こっちには気付いてはいない。

 鍛え続けた“勘”がそれを教えてくれる。


 今の内だ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


 俺は奴らから遠ざかりつつ、逆に人ごみのあるであろう方向へと走り出す。



 ・・・・・・・・・と?



 首辺りにチリチリとした感触が来た。

 はて・・・? 首に触れて確かめてみる。



 チュン・・・・・・・・・。



 直後、

 何かが首の直横をかすって行った。

 首を捻っていなければ“盆の窪”直撃だった。


 「チッ・・・・・・外したか!!」


 そんな声がする。

 電柱の陰に身を隠しつつも確認すると、その男はA−10ライフルなんか持ってるじゃありませんか!!

 
 ヲイヲイ、オレを殺る為に持ってきたのかよ!!

 ドコの会社製か解からないが、法廷基準値なんか無視しまくったガス圧だ。

 間違いない。オレを殺る為に改造してるんだ!!


 ジョーダンじゃない!!


 「当たったら死んじまうじゃねぇか!!!」

 オレは力の限り叫んだ。


 だが、男は無情にも、

 「バーカ」

 唇の端を跳ね上げて、獣じみてイヤンな笑みを浮かべつつこう言った。

 「殺るつもりなんだよ・・・・・・」

 体温が下がるのを感じた。


───死んで堪るか!!!!


 オレは電柱の陰から上・・・・・・すなわち、そのまま電柱を“駆け上って”、兵の向こう側の誰かの家の庭へダ
イブした。


 グワッシャァ!!


 お約束にも置いてある盆栽を踏みにじり、別の塀から飛び出す。

 「チッ!! ゴキブリかテメェは!!」

 るせぇっ!! こっちは必死なんだ!!!

 道を歩く事を諦めたオレは塀から塀へ、庭から庭へと逃げ続ける。

 しかし、追っ手も諦めない。


 オレの“今日”の逃走劇は始まったばかりだ・・・・・・・・・。





 オレの名は相田ケンスケ。

 職業、一般ピーポォな中学生・・・・・・。

 身に覚えの無い罪を着せられ逃亡中だ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・って、


 「やってられっかぁああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」


 “ケンスケ殺ってクスハちゃんを助け出そう”をスローガンにして追う猟犬たち。


 『さぁ、相田君。無事に逃げ遂せて貰おうじゃないか。フフフフフフ・・・・・・・・・』

 と、銀髪の少年の笑い声が聞こえるようであった・・・・・・・・・。


 「こぉんちくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」





                             はっぴぃDay’S

                            26・STEP 奇跡の跡は? 




 「最近、お昼休みにケンスケ見ないね」

 何気なくシンジがそう言った。

 「はぁ? お前、知らへんのか?」

 ヒカリ製の弁当をパクつきつつ、呆れた声を出すトウジ。

 箸でシンジを指しつつ言ってしまうが、それは“指し箸”といってマナー違反である。

 まぁ、トウジが知る由も無いが。

 「なにが?」

 キョトンとして聞き返すシンジ。

 流石は天然だ。

 「あんなぁ・・・・・・ケンスケはなぁ・・・・・・」


 “今アイツはなぁ、女装シンジ“クスハ”という偶像からシンジの貞操を守るべく、スケープゴートにさ
れとるんやで?”


 と、説明を入れる前に、

 「バッカね〜〜。ハルコといるに決まってんじゃないの!!」

 勝気な少女の声に邪魔された。

 「そ、そっか・・・・・・」

 赤くなってうつむくシンジ。

 解からなかった事に恥じているのではなく、二人っきりの睦事を想像しての事だ。

 そこらへんがシンジがシンジたる所以である。

 「あら〜〜シンちゃん。何想像したの〜〜? エッチィな事〜?」

 実に楽しそうにシンジに擦り寄ってくる青銀髪の少女。

 「ちょ、ちょっとレイ・・・・・・」

 離れようとしても首をペロリとやられて力が抜ける。

 「うふ・・・・・・シンちゃんの汗の味〜〜♪」

 とてもじゃないが中学生の行為に見えないが、セックスアピールしまくる少女達には関係なかった。

 「シンジくんが困ってるでしょ!! レイちゃんもやめなさいよ」

 と濃い茶髪の少女がシンジを庇うように割り込む。

 しかし、マナはシンジの太股に跨っているから少年の頭は湯気が出そうになっており、ピンチだ。

 「アンタもよ!!」

 流石に赤みがかった金髪の少女も割り込む。

 だがアスカはシンジの背中に抱きついており、中学生の平均サイズから逸脱している果実がシンジの背中
で『ふにゅっ』とつぶれて、これまたピンチ。


 いくらか慣れたとは言っても、毎日毎日子作りをせがむ女子中学生もナニかと思う。


 どちらにせよ、トウジの説明タイムは消失した。


 “メガネの説明は不要!! ンなつまんないコトでシンジに心配かけさせたら・・・・・・コロスわよ?”

 赤鬼が眼で静かにそう語っている。

 命は惜しいのでトウジは口を閉じて弁当に思いを寄せた。


 『すまんのうケンスケ・・・・・・ワイはお前を見捨てなあかんのや・・・・・・』


 本人が聞いたら絶対に納得できない事を思いつつ、卵焼きを口に運んだ。


 「ンまいでコレ!! さっすが委員長や!!」

 当然、ヒカリはご満悦だ。

 ・・・・・・・・・美味さでスッカリ友を忘れる男であった。


 トウジが、自分の想い人が自分の作ったお弁当を誉めてくれた事に浮かれているヒカリ。

 だが、この目の前の状況にどうしようかと悩んでいる部分も確かにある。

 委員長としての責任感からだ。

 人の少ない屋上とはいえ、人前で親友がライバル達とシンジに絡みついてアヤシゲなアプローチを敢行し
ている。

 ハッキリ言ってフケツなんてレベルじゃない。インモラル直前だ。


 しかし、ヒカリにしてもアスカ達の強烈な想いを知っているので無下にできない。

 それに、とっとと誰かとくっついてくれないと姉のコダマと妹のノゾミがシンジに対してどういった行動
に出るかが解からないのだ。

 アスカ達のエスカレートしてゆくお誘いに触発されたか、中々に“お下劣”な策を練ったりしているから
シャレにならない。

 成功しても失敗しても、突き上げを喰らって自分がドエライ迷惑を蒙るのは火を見るより明らかなのだ。

 “よりにもよって、こんな厄介な少年に惚れんでもええやないか”とトウジと一緒にいる事によって培っ
てしまった関西弁で愚痴ってみるも、シンジは結構な優良物件なので解からんでもない。


 実際にトウジという“すてでぃ”に出会わなければアノ姉妹と血が繋がっているのだから自分もああなっ
ていたかもしれない。

 もっとも、今のヒカリの頭はトウジ一色なので空想以外の何物でもないが・・・・・・。


 ヒカリが考えを馳せている間にもシンジはドンドンもみくちゃに(注:比喩的表現ではない)されてゆく。


 だが、行き過ぎないよう(既に遅いという説もあるが・・・)にストッパー君はいるのである。


 「早く食べないとお昼休みが終わってしまうよ? シンジ君を遅刻させたいのかい?」

 カヲルが優しくシンジを庇う。

 いつもの事だ。

 しぶしぶ身体から離れる少女達。

 いくら夏が終わろうとしていても、暑い事は暑い。

 シンジは汗だくだ。

 「ハイ、シンジ君。汗をふきなよ」

 とハンカチも出してくれる。

 「ありがとう」

 微笑んで汗を拭くシンジ。

 何故か他所を向いて遠くを見つめているカヲル。

 顔の真ん中辺りがナゾの液体で赤い。

 言うまでも無く鼻血である。

 「ああ・・・・・・LCLかと思ったよ」

 ポケットテッシュでふき取りつつ誤魔化すも、鼻からLCLが出たら気色悪いことこの上もない。

 その言葉に肩をすくませるシンジとアスカ。そしてレイ。

 レイは“それ”のせいで未だに肉が食べられないのだ。

 もっとも、赤身の魚も駄目であるが煮込んだら食べられるのでシンジは何時もそうしている。

 レイの為に決してお刺身を出さないところがシンジたる所以だ。



 汗だくになりながらも何とか食べ終えるとまだ10分ほど時間が残っていた。

 ハンカチで弁当箱を包みなおして身体を伸ばしてみると、屋上から街が一望出来る。


 “あの世界”とよく似ているが、全く違う世界。

 “あの世界”とよく似ているが、“あの”悲劇が無かった世界。


 確かに温室効果とやらであちこちに気象被害が起こって人口も相当減っているものの、セカンドインパクト
という人為的大災害は起こっていない。

 そして、サードインパクトという人類が経験したことのない未曾有の大災害も・・・・・・・・・。


 自分はその要だった。

 アスカとレイはその為の“駒”であり“道具”だった。

 カヲルに至っては“人類の敵”だったのだ。 


 何もかもが狂った世界・・・・・・それでも大切な思い出もいっぱいあった。

 レイに会えたし、アスカにも出会えた。

 終わり方は最悪であったが、マナとも知り合えた。

 悲劇的な別れであったが、カヲルという友達にも・・・・・・・・・。

 ふっと振り返ってみると、アスカもレイも、マナも、カヲルも自分を見つめている。


 ──自分はこれほど大切に思われている。


 そんな幸福を今更ながら感じ取り、シンジは皆に笑顔を送った。





 結果、シンジ達は五時限目に遅刻して怒られるのであった・・・・・・・・・。





               *   *   *   *   *   *   *   *   *



 シンジが妙に感慨深くなっているのにも理由がある。


 それは昨日の夜の事だった。


 シンジ達が同居するにあたって一つの取り決めがあった。



 “三週間に一度、家族で食事をする”



 と言うことである。


 “三週間に一度”という区切りを決めたのはゲンドウで、それがシンジのいない事によって耐えられる活
動限界時間なのだそうだ。

 母ユイの言う事には泣いてイジケルてしまうらしい・・・・・・・・・。

 “前”のゲンドウとのギャップに苦笑しつつも、自分が親にそれだけ愛されているという事でもあったの
で割と簡単に了承したのである。


 が、それではキョウコママらが黙っていない。


 『私たちだって未来の息子とご飯食べたーい!!!』


 と駄々をこねたのだ。


 コレには(元)チルドレン(+マナ,マヤ)も大いに呆れた。


 それ以来、あの手この手でお願いコールを送ってくる爺婆親バカ連合軍。


 結果、三週間に一度全家族で集って食事をする事となった。

 当然ながらアスカ達嫁候補はブーイングを入れた。

 だが、『反抗意見があるものは実家に連れて帰っちゃうゾ♪』と脅されれば流石の大奥達も首を縦に振る行
為以外はできなかった。


 で、昨夜も殿様シンジと大奥達(カヲル込みw)は正装をして食事会に出たのであった。


 本日は丘の上にある“第三東京ホテル”の最上階レストランを予約しており、そこで皆が一堂に会したの
である。

レイの祖母である綾波財閥総帥、六分儀レイカ。

 世界復興支援生態系保護組織NERVのトップである碇ゲンドウ、そして碇ユイ。

 そのNERVの宇宙量子研究課のトップである惣流・アーネスト・ラングレー、そして惣流・キョウコ・
ラングレー。

 NERV付属の医療研究部門精神医学部トップである霧島マモル。

 そして、両親のいないマヤの親代わりであるNERV技術研究部トップの赤木ナオコ。


 ぱっと見ただけで途轍もない顔合わせである。

 間違いなく世界を牛耳っているトップ達が集まっているのだ。

 ホテル側も緊張してコチコチである。

 マスコミ各社も、

 『世界のトップが集って何をするのか?!』

 と色めき立っている。


 何てことは無い。

 ただの親バカの集まりである。

 まぁ、当人達にとってどーでもいい事であったが・・・・・・・・・。



 ホテルオーナーの時田氏のどーでもいい挨拶を耳に流し(ゲンドウ達はイライラしていた)、とっとと食事
を運ばせた。

 和食懐石を予約しておいた訳ではないのだが、ゲンドウは和食好きということを知っているのか、きっちり
とした懐石膳で三の膳まであった。

 美味しそうであったのだが、塩焼きのシッポにこびり付いた多めの塩がちょっと嫌な予感を発生させる。


 尚も料理の説明をしようとするオーナーをたたき出すと、なんとか落ち着いて箸をつける事ができた。


 が・・・・・・・・・。


 「ちょっと塩辛いな・・・・・・」

 「関東風・・・・・・にしても塩味が強すぎますわね・・・・・・私たちには辛く感じますわ」

 と碇夫婦。

 「私もソイソースの味は嫌いではないが・・・・・・」

 「いい加減に“しょうゆ”と言ってください」

 と惣流夫婦。

 二組とも婿養子で、やや立場が無いがとても仲がよい。

 「シンジので慣れちゃったのもあるけど・・・・・・アタシも辛いわ」

 「う〜ん・・・・・・鰹節はいいの使ってるのに・・・・・・惜しいなぁ・・・・・・」

 その夫婦の子供達も同意見のようだ。

 もっとも、息子の方は出汁を細かく分析してたりする。

 「具材に気を使いすぎて肝心の出汁が今一つですわね・・・・・・腕云々より発想が貧困なのですわ」

 財閥トップであるからかレイカの言う事も辛辣だ。

 「美味しかったら手毬麩だけでも美味しいよ〜?」

 食い倒れ少女レイの意見は真っ直ぐだった。

 「出してもらって文句を言うのもなんであるとは思うが、こっちはたまにしか会えない子供達との会食な
  のだからもっと気を使ってほしいものだと思うがね・・・・・・」

 やっぱりクドい霧島パパ。

 「パパも文句言わないの! せっかく皆で一緒に食べてるのに文句ばっか言って」

 「まぁまぁ、仕方ないよ。ボクらは全員関西風の薄味が好きなんだから」

 口ではなんとも言うが、自分もあまり箸を進めないマナ。

 そして取り成す兄カヲル。

 「まぁ、食べられないくらい酷いワケではないし、冷酒で流し込んだらどうにかなるわよ?」

 と、食べる事より飲む事をメインにしているナオコ。

 「ナオコさん・・・・・・それ、遠回しに美味しくないって言ってるだけのような・・・・・・」

 自分も鮎の姿焼きの塩辛さに辟易していたので冷酒で流しているマヤ。


 全員、全然自覚していないが、シンジの“しょうゆ薄味、コクは濃厚”主義に巻き込まれており、コクが
足りなくて塩味がキツイものには抵抗があるのだ。


 それでも何とか食事を終わらせると、子供達の前に豆腐アイスが置かれる。

 コーヒーかアイスのチョイス式であるのに、なぜか大人達はコーヒーである。

 実は甘い物好きである大人達はムッとしていた。

 気にしていなかったのはコーヒー党のナオコぐらいであったが、一口含んでムっとした。

 「モカ・マタリ・・・・・・・・・濃すぎるわよ。煎れたの誰よ・・・・・・・・・」


 実は前にシンジが用意したコーヒー豆“神山(注:実在します)”彼自身に挽いてもらってドリップして
もらい、その味に舌鼓を打ったとこなのだ。

 もっとも、彼はナオコの好きな苦味加減を知った上で煎れたのであるが、それも“接待”というものの一
つなのだ。


 舌の肥えまくっている人間を喜ばせるのは接待で味を出すしかない。

 しかし、それをも怠っているこのレストラン。


 『もー絶対に来るもんか』


 と大人達は思った。


 そんな大人達の心理は別として、子供達・・・・・・シンジ,アスカ,レイは窓からの景色を眺めていた。

 マナ&マヤのMMコンビはケーキを選び中である。


 「まさかここで食事することになるなんてね」

 シンジが柔らかい笑みを浮かべてそう言った。

 「ホント・・・・・・こう言ったらなんだけど、笑っちゃうわよね」

 アスカも穏やかである。

 「『弐号機、ATフィールド全開!!』って?」

 レイの言葉に二人も笑う。

 懐かしくて、感慨深くて・・・・・・。

 「楽しそうだね・・・・・・何の話だい?」

 片手にグラス──多分ジンジャーエール──をもってカヲルが歩み寄ってきた。

 「うん。このホテルの場所の事だよ」

 「ホテルの場所?」

 「そ。ここってね、第三芦ノ湖があったトコなの」

 「第三芦ノ湖・・・・・・・・・? 使徒戦でできた穴の事かい?」

 「そ〜なの。第壱拾使徒サハクィエル・・・・・・ぴゅ〜〜〜〜〜〜って落ちてきたのを受け止めたのよ〜?」

 「受け止めた・・・って・・・・・・・・・EVAでかい?」

 流石にカヲルも驚く。

 “あの場”にいなかったらそうだろう。

 「うん。ミサトさんの作戦・・・・・・・・作戦かなぁ?」

 「落ちてきたのを手で受け止めてナイフで倒すってのが作戦だって言い張れるんならね」

 アスカは肩をすくめながらそう言った。

 「結果オーライの出たトコ勝負ばっかだったわよね〜〜」

 「そうだよね。僕も何回か心臓止まったみたいだし」

 ギョッとした三人を巻き込みつつもシンジ達は楽しそうに来訪していない“昔”を語っていた。


 楽しくも無い“過去”。

 苦しかった“昔”。

 命令は下るけど、ケアが成されない“戦い”。

 子供達ばかりが最前線で足掻き、苦しんでいた。


 だけど“今は昔”だ。

 あの“世界”は起こりえぬ未来であり、存在しない過去なのだ。


 シンジ達は“この世界”という“今昔物語”の中で、傷を癒すように生きている。

 この優しい家族と、大好きな皆で暮らす日々。


 その大切さを誰よりも感じているシンジ。

 そしてそのシンジと一緒に生きたい少女達。

 彼が誰を選ぶとしても、自分達は文句を言わないし異論は無い。

 だけど、今だけは、

 今のうちだけは恋のライバルとして戦って行きたい。

 命を賭けた戦いではなく、新婚家庭を賭けた戦いを・・・・・・・・・。



 最上階の展望台から見える星空は、マトリエル戦後で見たものと同じく、優しく瞬いていた・・・・・・・・・。




                *   *   *   *   *   *   *   *   *



 「それでは、やはり“例の件”を進めるのですか?」

 「当然だ」


 会食の日の深夜。

 例によって例の如く、爺婆親バカ連合軍(+ナオコ・・・・・・って増えたよヲイ!!)らは碇家のキッチンに
集合していた。


 「キール知事。根回しは?」

 「与野党も掌握した。表向きは今まで通りだが、総理も我が手にある」

 「ふ・・・・・・ならば問題ないですな」

 「ただ、碇。知事の言う通りだとしても時間がかかるぞ?」

 「そうですわね・・・・・・最低見積もっても半年・・・・・・改正は簡単にはいかないという事です」

 「虫は潰す・・・・・・それだけだ」

 「アナタ・・・・・・」

 「む?」

 「手加減は無用ですわ・・・・・・」

 「解かっている・・・・・・(ニヤリ)」


 暗雲立ち込める碇家キッチン。

 爺婆親バカ連合軍(+ナオコ)は何を企むのか?


 そのせいで迷惑を蒙るのは・・・・・・・・・。

 恐らくはシンジ君。


 だからスケープゴートは必要だ。


 ガンガレ、ケンスケ!!

 君への裏の根回しはこの連中だ!!




 「ドちくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!!

  皆、敵かぁああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!」


 「大丈夫よ〜〜・・・・・・あたしはケンちゃんの味方だからぁ〜〜」


 獅子身中の虫に慰められるケンスケに明日はあるのか?


 ま、陽は又昇るからどーでもいいか♪


作者"片山 十三"様へのメール/小説の感想はこちら。
boh3@mwc.biglobe.ne.jp

感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構
ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] ECナビでポインと Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!


無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 解約手数料0円【あしたでんき】 海外旅行保険が無料! 海外ホテル