世は須らく事もなし・・・・・・・・・・・・・・・。

 そう言いたげな青空が広がっている。



 だが、世界のどこかでは内乱があり、

 貧困があり、

 犯罪があり、

 笑う者と泣く者がいる。



 だが、かかる状況は誰が悪いというのではない。

 今まで発生しなかったモノが一気に噴出した結果なのだ。


 言うなれば“運が悪かった”のである。


 当然ながら当事者にとっては納得できる訳も無い。


 対象が大切な存在であればあるほどだ・・・・・・・・・。



 ある家族の集りにとって、

 ある少年少女達にとって、

 只々大切な少年は、

 白い病室の白いベッドにて、

 表情一つ変えずに眠り続けていた。



 あれから二週間。

 少年は意識が戻らない。



 昏睡状態の中、夢を見続けているのである。



 ゆっくりと衰弱してゆく少年に追従する形で、彼を思う人間も衰弱して行く。



 幼馴染というポジションの赤みがかった金髪の少女も、

 遠い親戚だという蒼みがかった銀髪の少女も、

 父親の関係で家族で付き合っていた茶色のショートの少女も、

 その兄であり、いつもアルカイックスマイルを浮かべていた銀髪の少年も、


 そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


 「“シンくん”・・・・・・・・・」

 黒髪ショートの童顔の女性も・・・・・・・・・。

 「せっかくまた会えたのに・・・・・・・・・こんなのってないよね・・・・・・・・・?
  早く起きてよ・・・・・・・・・・・・・・・。
  シンくん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 眼に涙を浮かべて少年の寝顔を見つめ続けていた。












 「シンジ君・・・・・・・・・・・・。

  皆泣いてるよ?

  ボクもずっと待ってるんだ・・・・・・・・・・・・。

  皆を泣かせるのは君の本意じゃないだろう?

  だから早く戻ってきてくれないかな・・・・・・・・・?」



 彼を慕う者が必死で自分を保ちつつその日を待ちわびている。

 彼がいなくなると言う事は、そのもの達の崩壊を意味する。

 だから少年は還って来なければならない。






 あの、赤い海から人間達に世界を返してあげた奇跡の様に・・・・・・・・・・・・・・・・・・。










                             はっぴぃDay’S

                          29・STEP 僕に至る病(後編)

























 ゴトンゴトンゴトンゴトン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





 列車は進む。


 只ひたすら真っ直ぐに・・・・・・・・・。



 ここはいつか見た光景。



 闇の底に囚われて、自分の内側に吸い込まれ、内面の自分と見詰め合った時に来た場所・・・・・・・・・。



 あの時目の前にいたのは幼い頃の自分だった。


 今、自分の前に居るのは・・・・・・・・・・・・・・・・・・。







 中学生の時の自分・・・・・・・・・。







 二人の背景・・・・・・。


 背中側の窓の外に広がる風景は異なっている。



 青年の後には泣きながら戦う少年と、心の傷を隠しながら必死にあがく少女が映っていた。



 少年の後にはお互いに想い合っているのに、意地を張り合い、傷付けつつも育んでゆくカップルがいた。



 二人の背景は異なっていたが、登場人物は同じだった。



 異なった場所で笑い、


 苦しみ、


 泣く・・・・・・。



 青年の方には不必要なモノもある。


 子供達が心で血を流し、


 そして、想いを引き剥がされてゆくという・・・・・・・・・・・・。



 だけど世界は違っても、結局心は同じだった。



 人から見れば些細な事で、

 人から見れば深刻なところで、

 子供達は傷付け合い、分かり合い、苦しみ合っていた・・・・・・・・・・・・。


 だが、決定的に違うところがある。


 青年の背景には、少年を思いやる愛が無い。


 少年の背景には深く心を傷付ける弊害が無い。



 その代わり、


 青年の背後には生き死にを超えたところにある“理解”があった。

 少年の背景には深い意味で理解し合える“場”がなかった。


 二人にとって、どちらが幸福とも不幸ともいえない。


 傍目には青年の方が不幸であったかもしれない。


 だが、その苦しみの過程にある出会いが彼の幸福に繋がっている。


 少年の方には苦しみが無い。


 だが、その為に進むべき道・・・・・・未来がまだ見えない。



 お互いがお互いを羨ましく思う。


 進むべき道を自分で見つけている強さを想い、

 自分らに係わり合いのある少女達が絶望の淵にいない事を想い・・・・・・・・・。



 だけど、向かい合う自分達はやはり自分達なのだ。



 あの少女達の事が好きで、

 皆のいる世界が好きで、

 傷つけられても、

 痛い思いをしても、


 やっぱり皆のいる世界を選択するだろう。


 自分も、

 そして目の前の“自分”も・・・・・・・・・。



 事故に遭い、目覚めてからこっちの記憶は共用している。

 それは“ここ”に来て初めて知った。


 自覚は無かったのだが、時々入れ替わっていたみたいだったのだ。

 同じ心、精神を持つ二人が入れ替わっても気付くものはいない。

 新たに得た記憶が同じだから矛盾も殆ど発生しない。


 皆を慕っている根っこは変わらないのだから・・・・・・・・・。



 「すごいね・・・・・・」

 少年が口を開いた。

 「うん・・・・・・キミもね」

 青年も返す。

 「僕はそんな戦いに巻き込まれたら逃げてるよ・・・・・・自殺でもやって・・・ね・・・・・・」

 弱々しく少年が笑う。

 他人を巻き込む戦いなど耐えられないからだ。

 「キミは死なないよ。アスカやレイ、マナ達の為にケンカができるキミはね・・・・・・僕には出来なかった事
  なんだよ・・・・・・・・・」


 苦く笑う青年。

 他人の為に戦える意思があの時もっと強ければ、もっとマシな世界になっていたかもしれない・・・・・・。

 いつもそう自分を責めていたから・・・・・・・・・。


 「そうじゃないよ・・・・・・結局、僕も痛いのはイヤなんだ・・・・・・。レイちゃんや、アスカ、マナやカヲル君、
  そして“マヤ姉”が傷ついたら・・・・・・・・・痛いんだ・・・・・・・・・とっても・・・・・・」

 「心が・・・・・・?」

 「うん・・・・・・」





 ゴトンゴトンゴトンゴトン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





 青年は振りかえり、背景を見る。

 その中では一番痛い思い出が映っていた。


 「解かるかい? この時にアスカは一度死んじゃったんだ・・・・・・・・・。
  僕がもっと早く出ていたら一緒に戦えたかもしれない・・・・・・・・・。
  アスカを傷つけずに済んだのに、自分が傷つくのを恐れて蹲ってたんだ・・・・・・・・・。
  心を閉ざしてね・・・・・・・・・」


 ぐじゃぐじゃに引き裂かれる赤い巨人。

 青年は胸を押さえて俯く。

 何時思い出しても腹立たしく、自分を殺したくなる。





 ゴトンゴトンゴトンゴトン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





 少年の背後では幼馴染の少女が叫んでいた。

 眼に涙を溜めて、必死になって、


 自分を騙した。


 本当は自分に嘘をついてた。


 アンタはアタシの事を好きじゃないんだ!!! ・・・・・・・・・と・・・・・・・・・。


 そんな事は無い。

 そんな訳無いじゃないか!!

 だけど唇は動いてくれない。

 彼女を悲しませているという事実に硬直し、彼女に対して思いやりのある言葉が紡げない。


 だから彼女を傷つける。

 だから彼女を苦しめる。



 だけど精一杯守りたい気持ちを身体で表した。



 ・・・・・・・・・・・・トラックの追突で与えられる衝撃。


 少女を庇った自分ごとバスから外へ吹き飛ばされる・・・・・・・・・。





 ゴトンゴトンゴトンゴトン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





 「やっぱり君は強いよ・・・・・・・・・」


 「そう?」


 少年の言葉に反応したかのように、青年の背後の景色が変わる。

 少女の駆る赤い巨人が、マグマの中で戦っている。

 自分はただ見守るだけ。

 ギリギリの戦闘の中、“敵”に僅かにつけた傷に冷却パイプを切断して突っ込み、その“敵”を倒す。

 だが、最後の瞬間、その“敵”は命綱のケーブルに爪をかけた。


 死ぬ・・・・・・・・・?


 彼女がいなくなる・・・・・・・・・?


 僕の目の前から消える・・・・・・・・・?


 身体が勝手に動く。


 機体とは神経的に繋がっている為、機体の受けた傷みはダイレクトに伝わってくる。

 だけど関係なかった。

 躊躇も無かった。

 そんな時間すら惜しかった。


 火口を覗き込んだとき、その灼熱の場が怖かった。

 足が震えるほど怖かった。


 それでも自分は止まらない。

 制止命令があったかもしれない。

 だけど聞こえない。


 気が付くと灼熱の世界の中、

 身体を焼くマグマの熱も気にならない。


 彼女を弱々しく繋いでいたケーブルが切れた瞬間、そのケーブルを掴んでた・・・・・・・・・。



 「ね? キミだってそうじゃないか」

 「・・・・・・・・・うん・・・・・・・・・忘れてたよ・・・・・・・・・」





 ゴトンゴトンゴトンゴトン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





 蒼銀の髪の少女をその容姿の相違から皆が囃して虐めている。

 怒って殴りかかる自分。



 瀕死のまま機体に乗る命令を受ける蒼銀の髪の少女。

 怖い気持ちを押し騙して彼女の代わりに機体に乗る事を承諾する自分。



 思い出の中の相違点。

 違う出会い、

 違う配置、

 違う場所、




 だけど、皆といて、


 庇って、


 守られて、


 怒らせて、


 一緒に笑う・・・・・・・・・。


 結局、皆と一緒にいた事実は変わらない。


 そして、皆と一緒にいたい、一緒に笑っていたいという気持ちも・・・・・・・・・。







 ゴトンゴトンゴトンゴトン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 カンカンカンカン・・・・・・・・・・・・・・・・・・。







 「逃げちゃ・・・・・・・・・・・・・だめなんだよね?」

 少年は真っ直ぐに映像を見つめながらそう言った。

 「うん?」

 頭を上げて少年を見つめる。

 「このままここにいても解決はしないよね?」

 「うん・・・・・・」

 「アスカ達が自我を失ってるのは辛い事だったよね?」

 「うん・・・・・・・・・・・・・・・」

 「今、僕らはそんな思いをさせてるんだよね? 皆に・・・・・・」

 「・・・・・・・・・」


 耳をすませてみる・・・・・・・・・。























 聞こえる。

 確かに聞こえる。

 自分の名を呼び、泣く声が・・・・・・・・・。



 「僕も皆に会いたい。
  アスカにも、レイちゃんにも、マナにも、カヲル君にも、マヤ姉にも・・・・・・・・・」

 「うん・・・・・・そうだね・・・・・・」

 「泣かせちゃダメなんだよね・・・・・・?」

 「そうだね・・・・・・・・・。
  アスカ達にヒドイ罰を受けちゃうしね」

 「うん」




 “ココ”来て初めて、




 笑った。




 二人して笑った。




 心の中・・・・・・。

 目の前にあった透明なガラスのような壁が割れ、分割されていた心が一つになり、二人は今までよりずっ
と深い意味で理解し合い、話し合えた。




 自分らの事、

 友達の事、

 趣味や特技、

 これからの展望等々・・・・・・・・・。




 そして一番単純な答えに行き着いた。

 いや、その答えを先に出さなければいけなかったのだ。



 かなりの回り道の後、行き着いた“答え”。



 原因を探るよりまずやらなきゃならない傷の手当て・・・・・・・・・。



 “皆を泣かせない。皆の所へ戻る・・・・・・”

 単純なことだけど、間違いなく心理。



 気がつくと二人は平均をとった様な身長、年格好になっていた。



 「さてと」
 「さてと」



 二人はユニゾンする。



 「もどりますか」
 「もどりますか」



 窓にヒビが入り、その亀裂は壁をも巻き込む。


 車内全体に細かくヒビが行き渡ると、


 漆黒の闇の中に浮かぶ車両は、





 ぱぁああああああああああああああああああああんっ!!!





 粉々に砕け散った。





 その中心に“一人”の少年が浮いていた。

 誰であろうと引き込むような笑顔で、

 誰よりも幸せを噛み締めているような笑顔で・・・・・・・・・。





 漆黒の闇の世界を光が吹き飛ばし、





 そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、





































 マナとマヤ、そしてカヲルの三人は皆の食料を買いに出て行った。

 食事をちゃんと取らないとやせ細ってしまう。


 シンジが目覚めた時、そんな元気の無い姿を見せたくなかったのだ。


 だから皆、無理にでも食べていた。

 胃が受け付けないとしても・・・・・・だ。


 シンジの身体を消拭するのもアスカ達が行っていた。

 それだけ少年の傍にいたかったのだ。


 「ねぇ・・・・・・レイ・・・・・・」

 「ん〜〜? 何?」

 シンジの背中を拭きつつ、アスカが言った。

 はつらつとした元気さが失われている今、彼女の声には痛々しいほど力が無い。

 だが、それはレイも同じである。


 二人が拭いて行く少年の身体。

 半月も自力で動かない少年の白い背中が二人はやはり悲しい。


 「アタシ達ってさ、結局、沖縄に生けない運命なのかなぁ・・・・・・・・・?」


 シンジの腕を拭くレイの手が止まった。


 その言葉がレイの胸に厚く圧し掛かっているのだ。


 “前”の自分達は使徒殲滅という“任務”があり、学校生活はただ通学だけするという作業のようなもの。

 少なくとも、レイにとってはそうだった。


 それでも、何となく楽しみではあったような気がする。


 だが、その楽しみという“理由”が微笑んでくれない。



 眼も開けてくれない・・・・・・・・・。



 あの時代、ひたすら“無”に帰る日を待ち望んでいた日々の中、


 司令だけが絆だと思っていた日々の中、


 唯一、ココロをあたためてくれる物があった・・・・・・・・・。



 自分を見て微笑んでくれる人。



 自分を通して妻を見つめていた男ではなく、

 自分を・・・・・・“綾波レイ”を見てくれて微笑んでくれていた少年・・・・・・・・・。


 自覚は無かったものの、自分にとって全てであった司令より、いつの間にか少年を拠り所にしていた・・・・・・。


 それは“こっち”に来ても同様だった。


 だから、彼が動いてくれないことが切なく苦しい。

 突き刺すような痛みではなく、踏みにじられるように苦しいのだ。



 当然、アスカも同様だ。



 常に自分といてくれた少年。

 全てが終わり、ボロボロになった自分を必死になって看病し、

 機体が無くなり、生きる気力が無くなっていた自分を必死になって庇ってくれた。



 それが少年の“罪滅ぼし”という愚考なら、自分も拒否できただろう。

 それが少年の“責任行為”という愚行なら、侮蔑の言葉で追い出せただろう。



 だが、少年の一連の行為には、そんな裏は無い。


 “自分と共にいたい、守りたい、そばにいてあげたい”という切実なもの。

 とてもじゃないが抗えたものではなかった。



 この世界に一人しかいないと感じていた孤独ではなく、

 この世界に唯一の人であるという満足感に満たされていった。



 だから少しだけ正直になった。

 すると、少年は少し歩み寄ってくれた。



 もう少し正直になってみた。

 少年はまた歩み寄ってくれた。



 後はどんどん勢いをつけるだけ。

 世界はどんどん近くなった。



 閉塞した自分を、

 世界を、

 押し広げてくれたのは、不器用ながら非力ながらがんばり続けた少年だった。


 “こっち”に来た時も、パニックを起こす自分に常に付き添い、情報を小出しに与えてくれて支え続けて
くれたのも彼だった。


 結果、自分は記憶の整理が早く整い、フラッシュバックの苦しみも軽かったのである。


 そして皮肉な事に、彼女に掛かりきりだった為、彼女の事で一杯一杯だった少年は記憶を重ねるチャンス
を失っていたのだ。


 だから、余計に少女の心を握り締めていた。


 苦しくて、悲しくて、




 つい、手に力が篭った・・・・・・・・・。












 「痛っ・・・・・・痛いよアスカ」



 少年が非難した。



 いくら柔らかいタオルでも、ゴリゴリとやられたら痛いに決まってる。

 「あ、ああっゴメン! シンジ」




 少年はいつも何気なかった。


 さりげなかった。




 あって当然、無いと生きられない。まるで空気のように・・・・・・・・・。




 ふと見ると、蒼銀髪の少女が固まっていた。

 その様子に、アスカも気付く。


 今の声の主がレイではないという事に・・・・・・・・・。


 恐る恐ると顔を上げる・・・・・・・・・。


 「アスカぁ・・・・・・まだちょっとヒリヒリするよ・・・・・・」


 少年が、

 口を開いて、

 痛がっていた・・・・・・・・・。



 ぎゅう・・・・・・・・・。



 「痛っ!! なんで抓るんだよ!!」

 「あ、ああ・・・・・・ゴメン」


 思わず少年の脇を抓り上げる。

 返事が返ってくる。

 夢じゃない。


 でも・・・・・・・・・。


 「シンジ・・・・・・・・・アンタ・・・・・・・・・“どっち”?」

 「え?」


 レイも同じ事を聞きたげな顔をしている。

 心配なのだ。

 あの“シンジ”がいないかもしれない事が・・・・・・・・・。


 少年は、やや考えたような顔をして、

 口を開く。


 「僕は、アスカとレイ“ちゃん”の幼馴染で、第壱中学に通ってて」


 二人の少女の顔が、一瞬、青くなる。


 「皆と一緒に暮らしてる一般人なんだけど、汎用人型決戦兵器にも乗ってた過去があって」





 少女達の顔色が、





 如実に、





 変わった。





 「やっぱり第壱中学に通ってる、“元”エヴァンゲリオン初号機パイロット、碇シンジだよ」




 そう言って、




 あの大好きな優しい笑みを浮かべた。























 その日、少年の病室からは、


 病院の中という事を忘れ切ったような、


 安堵の怒声と、泣き笑いの声とが響き渡っていた・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



















 〜〜お・ま・け〜〜


 「ふ〜〜〜〜〜ん・・・・・・そうだったの・・・・・・・・・・・・過去の事をメガネザルが聞いたから・・・・・・・・・」

 アスカの目が静かに赤く燃えている。

 「え? うん。ケンスケがレイやマナの事を聞いていくれたから、“僕ら”は一人になれたんだ」


 確かにケンスケがレイ達の事を聞いたのが原因で、シンジは固定化した記憶の解放が訪れたのだ。

 言ってみればケンスケの手柄だと言えない事も無い。



 が、



 納得してと言われてできるか? と問われれば、


 『できるくぅわぁあああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!』


 という怒声しか出てこない。


 てな訳で・・・・・・。


 「シンジがそこまで言うんだったら、お礼くらいやっとかないとないとねぇ・・・・・・」

 何故か当然のようにリボルディングステークを装着してゆくアスカ。

 「そっかぁ〜〜・・・・・・あのボケナスビが・・・・・・」

 両手にタルの様な黒いガントレットを装着してゆくレイ。

 全くもってヘル・アンド・ヘブンが出せそうだ。

 「うふふふふ・・・・・・・・・あたし、ココんトコ睡眠不足なのよね〜〜・・・・・・」

 とっても獣戦機隊の戦闘ロボットの武器の様な、愛の力にて悪しき空間でも断ちそうな剣を握り締めるマナ。

 「そうなの・・・・・・私のシンくんをそんな事に・・・・・・・・・」

 どこがどう、“私の”なんだか解からないが、ともかく動輪剣とパーフェクトキャノンを装着するマヤ。

 なんだか勇者特急でスゴそうだ。

 「うんうん・・・・・・相田君もやってくれるよねぇ・・・・・・あまつさえ知らんプリかい?」

 カヲルはニコニコと白いギターのキーを押し、胸に『Z』の文字のある赤いスーツを取り出してゆく・・・・・・。



 「「「「「じゃあ、お礼言ってくるから〜〜」」」」」


 ニコニコと笑みを浮かべつつ部屋を出てゆく少年少女+童顔女性。


 「え、え〜〜〜〜〜〜〜と?」


 やっと治って戻って来たというのに、皆出て行かれてしまったシンジ。



 ナニが何だかよく解かんない状況に陥った病室で、



 やっと皆といられる世界に戻って来られたシンジは、ボンヤリと明るい第三東京市を眺めていた・・・・・・・・・。










 「「「「「このメガネぇえええええええええええええええええええええええええっ!!!!!」」」」」


 「うぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


作者"片山 十三"様へのメール/小説の感想はこちら。
boh3@mwc.biglobe.ne.jp

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