四人の同居生活。
シンジたちにとっての新しい家族関係。

それは思っていたほど問題は無かった。

通学距離も近くなったこともあり(シンジとアスカにとっては10分の
短縮)、多少なりとも朝に余裕ができた。

マヤにしても、大学に向かうバス停に近くなり助かっている。

レイは、とにかく皆で楽しい共同生活になっているので文句は無い。
概ね良好な関係といえるだろう。

アスカとレイは同じ部屋を使うことになった。

もっと文句を言うかと思いきや、お互いがお互いを抜け駆けできぬよう
に見張ることが出来るので、比較的あっさりと決まったのだ。

前の世界ではミサトと同居したせいで腹痛を伴う食事を食べさせられた
り、家主の家事能力が壊滅していたが為にシンジが家事を一手に担ってい
たりと大変だったのだが、幸いにしてマヤは潔癖症で綺麗好きなのでハッ
キリ言って助かった。

料理もそこそこできるので、食事で困ることは無い。
シンジもけっこう綺麗好きなので、マヤにしても大助かりだ。


と、ここまでは良い点。


悪い点の一つは、そのマヤにあった。
まず、童顔のマヤを表すかのように、部屋の中を妙に少女趣味に飾り付
けられてしまうこと。

 だが、まぁこれはガマンできる。

それから、彼女は男性に対して、恐怖心手前の感情を持っていたと記憶
していたのだが、どっこいそれは“あっち”のマヤの話で、“こっち”の
マヤはそうではない。

別に彼氏がいるという訳ではなく、過去から現在にかけて彼氏いない暦
を爆進中なのだ。

だが、シンジに対してやたらと好意を持ってたりする。

一言で言うショタなお姉さんだったのである。

それも、ミサトがたまに冗談でやってたそれとは違い、マジにシンジに
なんらかの好意的な感情を持っているから大変だ。

そのせいもあり、朝の“シンジ君を起こしちゃおう”イベントに積極的
にかかわってくるのだ。

アスカやレイ、そしてマナたちにとっての害悪が増えてしまったのであ
る。


もう一つの悪い点。
それは、シンジの癖にあった・・・・・・・・・・・・。


「シ〜ンちゃん。お・き・て〜〜」

今日の勝者は、青みがかった銀糸の髪の少女──レイ──であった。

当然、起こしに来たくせに、起こさないよう小声である。
忍び足でベットに近寄り、顔を近づけて身体を揺する。

「朝ですよ〜〜〜・・・早く起きないとキスしちゃうよ〜〜」

ゆさゆさ。

「・・・・・・・・・・・・ん・・・・・? レイ・・・・・・・・・?」
「おはよ☆ シンちゃん。朝だよ☆」

ニコっと微笑むが、愛しい少年の頭の霧は晴れない。

「ん〜〜〜・・・・・・・・・・・・まだ眠いよ・・・・・・」
ぐいっ。
ばさっ。
「きゃっ! あ、あああああああ・・・・・・・・・」

やんわりと、それでいてかなり素早くベットに引きずり込まれた。

「おやすみ・・・・・・・・・・・・ZZZZZZ」
「あうあう〜〜〜〜〜〜」

「とっとと起きろ〜〜〜っ!!」

「わぁっ!!」

おもっきり嫉妬を含んだ怒声にシンジが一気に覚醒する。

「ア、アスカ?」
「なんが『アスカ?』よ。さっさと起きなさい!!!」
「わ、わかったよ・・・・・・・・・・・・ん?」
「シンちゃ〜〜ん・・・・・・・・・・・・(ゴロゴロ)」

自分の腕の中で喉を鳴らせて甘えるレイに、やっとこさ気が付いた。

「わっわわわっ! レ、レ、レイぃい???!!」

シンジの癖。
それは、抱き癖であった・・・・・・・・・・・・。

起きぬけの寝ぼけ時は、手近にあった物(者?)を抱きしめてしまうの
である。

これは、前の世界からの癖で、アスカはよく知っている。

「シ〜〜ン〜〜ジ〜〜〜〜・・・・・・・・・」
「シンジくん・・・・・・・・・・・・」
「シンジくぅん・・・・・・・・・・・・」

アスカとマヤ、そして朝食を御呼ばれに来ていたマナが、ものゴッツイ
眼で見ていた。

「え、え〜〜〜と・・・・・・・・・・・・」
つつ〜〜っと、シンジの後頭部にでっかい汗が流れる。


先にお茶を飲んでいたカヲルのいる居間に、シンジの悲鳴が響いてきた。

「シンジ君も大変だね」

おっとりとそんなことを呟いてみたりした。

なんだかんだ言いつつ、皆に愛されている証拠なんだよ。と、カヲルは
微笑んでいた・・・・・・。




はっぴい Day’S
6・STEP 祭りの前夜祭



当たり前と言えば、当たり前なのだが、シンジたちの通う第壱中学にも
夏休みが迫っていた。
 
 期末試験という、最凶のイベントを終え、ヤッホウなイベントを控え、
皆も浮き足立ってくる。

この世界のアスカと三馬鹿はオポンチな成績なのでミサトに釘を刺され
た上、監督を命じられたヒカリの監視付きで試験勉強をやらされてしまっ
た。

 無論、“あっち”のアスカが中身なので、普通ならば監視の必要など無
い。なんせ大卒なのだから。

 “あっち”のシンジにしても、真面目に勉強し、高校をかなり良い成績
で卒業し、第三大に一発合格している。

 が、アスカには致命的な欠点があった。

 そう。“国語”と“漢字”である。

 その二大欠点のせいで、アスカの成績は“こっち”のアスカと同じくら
いにまで落ちていた。

 答えが解っても、問題が解らないのだ・・・・・・。

 まぁ、シンジが無視する訳も無く、それとなくサポートしたお陰でなん
とかボーダーラインをクリアし、補習は免れたのであった。


 意外なことに、トウジは楽々クリアした。

 それは、ヒカリに付きっきりで教えられ、シンジたちとワイワイ問題を
出し合い、答えあうことが楽しかったからである。

気が付けば、彼は自己最高点をマークしていた。




 「トウジ〜〜〜・・・・・・裏切り者〜〜〜・・・・・・」

 例によって昼休みの屋上。
 いつもの面子が昼食を食べ終え、楽しく喋っている。

 そんな中、三馬鹿からただの『馬鹿』に格下げしたケンスケが一人愚痴
ていた。

 「アホ。せやから逃げてもどーもならん言うたやろが」

 ついに勉強のやり方を知り、心の中が余裕だらけとなったトウジ。
 そんなトウジを嬉しそうにヒカリが見つめている。

 「うう〜〜〜・・・・・・」

 ケンスケは、ミサトの命じた勉強会から逃亡を繰り返し、見事に期末試
験で自己最低点をマークしていた。

 夏休みの一部をケンスケの補習に取られてしまったミサトたち教師の引
き攣った作り笑顔が実に痛い。

 「ま、自業自得ね」

 補習を免れたアスカは他人事だ。
 まぁ、シンジが関係していないのなら、全部そうだという説もあるが。

 「ミサト先生に迷惑かけちゃて〜〜・・・知らないわよ?」

 当然、レイも他人事。もとより成績も良い。

 「ふっふ〜〜ん♪ あたしも今回セーフだもんね〜♪」

 と、これはマナ。
 彼女も散々な成績であったのだが、シンジがほぼ付きっきりで教える形
となり、やはり自己最高点をマークしていた。

 「でも、碇君て教えるの上手かったわ。それに、いつの間に勉強してた
の?」

 ヒカリは素直に感心していた。
真面目な委員長は、当然、上位の成績である。
その成績に、シンジはあっさりと並んでいるのだ。

 「え? あ、その・・・・・・入院中に・・・・・・やること無かったから・・・・・・」

 シンジはそう誤魔化した。

 実際は、“あっち”の世界で家庭教師のアルバイト等をしていたからな
のであるが、言う訳にもいかない。まぁ、言っても仕方ないが・・・・・・。


 そんな内情を知る由も無いヒカリは、深く後悔していた。

 思い込み以外の何物でもなかったのだが、

──何気ない一言で碇君を傷付けてしまった──

ヒカリはそう感じていたからである。

 アスカはそんなヒカリの心中に気付いたのだが、説明の仕様が無いので
黙っていた。

 それでも、心の中で『ヒカリ・・・・・・ゴメン・・・・・・』と謝るのがアスカら
しいとは言えるが・・・・・・。


 なんとなく気まずくなった空気を壊したのは、意外にもケンスケであっ
た。


「くそ〜〜・・・・・・コソコソやりやがって〜〜・・・・・・俺も事故って入院すれ
ばよかったぜ」


 ただ、壊し方は劣悪であった。

 ぶちぶちぶちぶちぶちっと、景気良くナニかが切れる音がし、

ぐいっ。

ズルズルズルズルズルッ。

十本の手によって、一瞬でケンスケは物陰に引きずり込まれた。

『ケンスケ! おのれはアホか! シンジが記憶無くして困っとる事、
忘っせとんのか?!』
『そうよ! シンちゃん、けっこう気にしてるんだからね!』
『相田君! ちょっとは考えて喋りなさいよ!』
『アンタ、ほっんとにバカね!! シンジが傷ついちゃうでしょう?!
 わかんないの?!』
『シンジくんが落ち込んだら、どー責任とってくれるのよ!』

当然、全員小声だが、使徒に殴りかかるような気迫に満ちていた。

こーゆー怒りの嵐の時は静かにしているほうが良い。
絶対に下らないセリフは慎むべきなのだ。

「で、でも、記憶が無いって言ってもたいしたことないんだろ? だっ
たら・・・・・・」

なんてコトほざくのは厳禁である♪


『『『『『なん(やとぉ)ですってぇ〜〜?!』』』』』


物陰からものゴッツにぶい音がしていたのだが、シンジはカヲルと双子
山を見ていた。

皆がキレてケンスケを引きずって行く直前、シンジの注意を景色に向け
させたのである。

「シンジ君。双子山って、どれかな?」

と、いう塩梅に。



「“こっち”の双子山って形が崩れてないんだね。今、気が付いたよ」

「使徒戦が無いからね。どうだい? 夏休みになったら、皆で行ってみ
ないかい?」

「あ、楽しそうだね。僕、お弁当いっぱい作るよ」

「そうだね・・・・・・山に登ったり、キャンプに行ったり、プールに行った
り・・・・・・これからもシンジ君と遊べるんだね」

「うん」

シンジは本当に楽しそうだった。

そして、カヲルもそんなシンジを見るのが嬉しかった。

物陰からもれてくる鈍い悲鳴をBGMに、まもなく迫ってくる夏休みに
想いを馳せるのだった・・・・・・。











浅暗い闇の中──────

五つの影が丸いテーブルを囲んでいた。

「それで、スケジュールの変更はありましたか?」
「いえ。まだ確認されてないわ」

女性の声が二つのぼる。

「・・・・・・」

一つの影は、テーブルに肘をつき、顔の前で手を組んだまま鈍くサング
ラスを光らせている。

その正面に、もう一つ影があったが、何やら一心にキーを叩いていた。

液晶モニターの反射光から中年の男であることが分かった。

「さける人員は限られている。そして、ポイントもな」

皆に言い聞かせるような初老の声がする。
その声にキーを叩く男以外が反応する。

「なにより“戦力”が少ないのは如何ともしがたいな。手は、あるのか?」
自分の左隣の席に問いかける。

問いかけられた影が僅かにサングラスを動かす。

「問題ありません・・・・・・今回は協力者もいます」

「協力者?」
「うむ」

その問いかけに答えるように、闇の中に二つ影が現れる。

「・・・・・・貴女方は・・・・・・」

この場にいる女性たちと同じくらいの年恰好の女性と、初老の銀縁眼鏡
の男性である。

「初めまして・・・・・・かしら? 私と直接会うのは」

「・・・・・・・・・・・・」
「貴女は・・・・・・ひょっとして・・・・・・」
「ええ、礼儀として名乗らせていただきますわ。私の名は六分儀レイカ
・・・・・・・・・御察しの通り、レイの祖母ですわ」

どちらかと言うと、サングラスの男の右隣にいる女性──ユイ──の肉
親といったほうが納得できるほど、ユイに似た女性はそう名乗った。

だが、どう見ても“祖母”という言葉が似つかわしくない。
それほど若々しいのだ。

「しかし・・・・・・キミまで関わってくれるとはね。霧島君」
「たまに父親らしいことをやってみたくなったんですよ。議長」

銀縁眼鏡の男。マナとカヲルの実父であり、ドイツ中央国立大学医学部
からゲンドウに呼び戻されて、現在はNERV医務室長の霧島教授その人
である。

「さて、今回、私が手を貸すのは他でもありません」

レイカが周りを見渡しながら口を開く。
まるで威嚇するかのように。

「レイの為・・・・・・という事もありますが、いずれレイの夫になってくれ
るシンジ君に婚前旅行をプレゼントしてあげかったからです。私の同
意したことはその一点です」

「・・・・・・何を仰いますやら・・・・・・シンジくんはアタシたちの娘であるア
スカの未来の夫。そして、アタシたちの義息子になるんですよ?」

丁寧ながら、十分に怒気を含んだ声音の女性の声がする。

ユイの左側の女性、キョウコである。
その声に、キーを叩いていた男も、モニターから眼を離さずに頷いた。

「ふむ・・・・・・間を取って、マナの婿ということにするという手はどうか
ね?」

「「間じゃないっ!!」」
 
「む・・・・・・ダメか」
・・・・・・・・・けっこう図々しい霧島であった。

彼は多忙であるが、歳の離れた子供達に対して深い愛情を持っている。

そして、寂しい想いをさせて来た子供達と仲良く遊んでくれて、友達に
なってくれたシンジには並々ならない感謝の念を抱いている。

親バカも相まって、マナとシンジの二人が結婚すると、明るく楽しい生
活が広がることであろうと考えてたりなんかしてた。

確かに、それは何とも言えない幸せそうな光景であろう。

「・・・・・・今日、皆に集まってもらったのは、そんな言い争いをしてもら
うが為ではない」

サングラスの右手でかけ直し、ゲンドウが場の空気を戻した。
黒い色眼鏡が鈍い光を映す。

「その通りだ。我々は迫っている現状に素早く対応せねばならんのだ」

初老の男──第三新東京都都知事、キール・ローレンツ──が後を続け
る。

その声にはっとしてユイが席を立ち、灯りを着けた。

パパッと蛍光灯に光が入り、碇家のキッチンが明るくなる。

もはや八時。
段取りに時間がかかり過ぎ、日が暮れていたことに気が付かなかったの
である。

「・・・・・・・・・・・・なんとかシュミレーションが終わったぞ。流石のMAG
Iでもデータが少ないと中々計算が終わらないものだな」

モニターから上げた顔は、さっきまでの技術者のソレではなく、アスカ
の父の顔に戻っていた。

「見てくれ」

壁の大型モニター(キッチンにあるんかい!)にシュミレーション結果
が映し出された。

ムダに物凄いリアルなCGで描き出されてゆく都市地図。

中心に見えるのは学校に見えた。

そう、シンジたちの通う第一中学である。

 そこから幾つものラインが走り、それぞれが海、双子山、プール等へと
走ってゆく。

 うち一つ、“初号”と書かれたラインは街中──デパート──へと走って
いた。

「これが予想ルートだ。夏休み前日は当然、服を買いに出る。当日の天
気も気象衛星からリンクして予想した。誤差は5.78%。晴天とまでは
いかないかもしれないが、曇りにはならない」

「問題ない。修正可能範囲だ」

ゲンドウがまたもサングラスを直し、画面を見やる。

「それで、惣流。シンジの部隊編成は?」
「こうだ」

カタッとキーを押すと、画面にはシンジ,アスカ,レイ,マナ,カヲル,
トウジ,ヒカリの顔が映し出された。

「一匹足りないな・・・・・・」
「相田くんか? 彼なら成績不振で補習だそうだ」
「なら問題ないな」

ニヤリとゲンドウ。

「だが、伊吹マヤ君が関係する可能性もある。その可能性を否定する訳
にもいかん」

「え? でも、彼女は・・・・・・」

「・・・・・・シンジ君は優しい・・・・・・そのシンジ君が伊吹マヤ君を無視して
出かけるというのかね?」

バイザーの赤い光点を摩滅させ、キールが惣流を睨む。
 思わず身をすくませるアスカ父。

「・・・・・その通りです。流石は議長」

「つまらん世辞はいい。それに私は知事だ。で、私は何処を予約すれば
良いのかね?」

キールの問いかけに我に返り、モニターの情報を読み取る。

「シンジくんはともかく、アスカとレイちゃん。そしてマナくんと伊吹
君までが絡んでいる。我々とMAGIの共通の答えが・・・・・・」

 「海・・・・・・か」

 「ああ・・・・・・」

 キールの答えにゲンドウが頷く。
 この二人の明晰な頭脳は、可能性の一つとしてはじき出していたのであ
る。

 画面に当日の天気と、シンジたちに購入“させる”特急の指定座席が表
示される。

 グリーン席という訳ではないので、シンジたちに気付かれないように記
録を残すのならば、グリーン席から隠れて盗撮する必要がある。

「・・・・・・遠いですわね・・・・・・これではシンジ君とレイの仲睦まじい絵が
撮れませんわね・・・・・・」

レイカの眉がひそめられる。

「御安心ください。シンジ君はウチのアスカといちゃついてくれますか
ら、そんな心配は無用ですわ」

間髪いれずにつっこむキョウコ。

「・・・・・・なるほど・・・・・・二人の少女に言い寄られて、マナに避難すると
いう事態もありえるな」

キっと母と祖母の射抜くような眼を向けられるも、流石は霧島教授、し
れっと流す。

のらりくらりとしながらも、霧島は一歩も引かない。


キールにとって、こんな争いはどーでも良かった。

なにせシンジは生まれたときから知っており、自分にとっては孫のよう
なもの。
子供のいない彼は、シンジが可愛くて仕方が無いのだ。

シンジのいい表情が撮れたらどーでもいいのだ。

それは、シンジの父であるゲンドウにも言えた。

ユイはキョウコと親友ということもあり、アスカとの結婚を強く希望し
ているのだが、ゲンドウにとっては、誰と結婚しても義娘ができ、孫がで
きるのだから、正にどーでもいいのだ。

そんな意味もあって、顔には出さないが、ゲンドウとキールの意見は一
致していた。

『『早く終わらないかな〜〜〜』』

である。

「レイはシンジ君に再会するためだけに病気を完治させたのです。その
愛の深さを理解できないとは哀れですわね」

「何を仰いますやら・・・・・・ウチのアスカの能力や生活技術の全てはシン
ジ君の為に積み上げられたもの。つまりは一途なシンジ君への愛の力
・・・・・・そんなことも理解できないとは不思議でなりませんわ」

「マナとカヲルは人付き合いが苦手で、友達らしい友達を作ることがで
きなかった。だが、シンジ君は二人に笑顔をもたらせてくれた。とも
すれば心に壁を作って、他人と接触したがらなくなりかかっていた二
人を、あっさりと光の中に連れ出してくれたのだ。彼こそマナにとっ
て運命の人と言っても過言ではない」

こんな言い合いをユイはボ〜っと聞いていた。
聞くだけで楽しいのだ。
己が愛息シンジの誉め言葉が羅列されてゆくのだから。

『ああ、もっと言って♪』
である。

ずず〜〜〜。

ゲンドウとキールは、冷めたほうじ茶をすすりつつ、いつまでも続く言
い合いを聞き流していた。

「碇よ・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・なんですか? 知事」
「夕食は食べられんのかな・・・・・・」
「諦めが肝心かと・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・(グゥ〜)」






親バカ爺婆連合軍の夜はふけて行った・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


作者"片山 十三"様へのメール/小説の感想はこちら。
boh3@mwc.biglobe.ne.jp

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